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2012 年度 実施状況報告書

再生可能エネルギーと省エネルギーのための制度設計

研究課題

研究課題/領域番号 24560500
研究種目

基盤研究(C)

研究機関高崎経済大学

研究代表者

山本 芳弘  高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (20419435)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワード固定価格買取制度 / 補助金 / 太陽光発電 / 普及 / スマートコミュニティ
研究概要

次世代エネルギー・社会システム実証地域の現地調査として、北九州スマートコミュニティ創造事業を現地調査した。特に、翌日の電力価格を制御することで需要応答を促し需給調整を行う地域節電所に着目した。再生可能エネルギーからの電力供給が少ない点や電力価格の設定方法が素朴である点などの問題点とともに、先進的とされる事例の現状を認識することができた。
太陽光発電に関して、発電された電力の買取価格と設置に対する補助金額の設定のあり方を、本研究課題以前の研究で自らが開発したモデル(Yamamoto, 2012)を応用して明らかにした:再生可能エネルギー利用と省エネルギーのための制度設計における第一段階として、再生可能エネルギーから発電された電力の買取価格をどのように設定すべきかという問題がある。今年度研究では、太陽光による発電量を最大化にするケース、社会厚生を最大化するケース、及び自律的な普及を促すケースのそれぞれについて、買取価格と補助金額の最適な組み合わせを明らかにした。日本では買取価格を国が決定する一方、補助金額は国、県、市の各レベルが設定していることが多く、非効率性を否定できない。本研究成果により、これを改善するための指針を示すことができた。
上記成果の内、自律的な普及を促すケースでは、オピニオンリーダーの役割が重要になる。イノベーションが普及するとは、まずオピニオンリーダーが採用し、フォロワーがそれに追随することと捉えられるからである。したがって、オピニオンリーダーの特性を制御可能な変数で捉え、その変数に関してインセンティブを与えることでオピニオンリーダーに採用させることが可能になる。そこで、オピニオンリーダーの特性を把握するためのアンケート調査を準備した。既に調査票の作成や調査会社との打ち合わせは終了し、次年度早々にアンケート調査を実施できる状態にある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

次世代エネルギー・社会システム実証地域のひとつを現地調査し、現状や今後の計画について知見を得ることができた。これは、制度設計の方向性を検討する上で有益であった。
次世代電力システムのもとで再生可能エネルギーの普及と省エネルギーを推し進める新たな電気料金制度を制度設計するにあたっては、電力価格(電力の販売価格)について検討するのみならず、再生可能エネルギーから発電された電力の買取価格についても同時に検討する必要がある。更に、買取価格の設定には、再生可能エネルギーから発電する設備を設置する際の補助金も考慮に入れておく必要がある。今年度の研究では、この内の買取価格と補助金額の最適な組み合わせについて成果を得ることができた(この成果は、国内学会で発表の後、それを発展させて国際会議でも発表した)。また、その成果を補強するためのアンケート調査の準備も完了した(次年度に確実に実施可能な状態にある)。これらをもとに、次年度には、現時点での2つの成果(買取価格と補助金額の最適な組み合わせ、及び普及に関連したアンケート調査結果)を論文で公表することができる。
また、未だ研究成果にまでは至っていないが、太陽光発電に関する買取価格と補助金額の最適な組み合わせについて普及の観点から分析した際に、ネットワークに関する最近の研究についての知識も蓄積した。この知識は、次年度以降に再生可能エネルギー利用と省エネルギーを目指すスマートコミュニティの制度設計を検討する上で、効果的に応用できると思われる。

今後の研究の推進方策

今年度行った次世代エネルギー・社会システム実証地域の現地調査に加えて、残る3つの実証地域の中から追加の現地調査をする。もし、先方の都合等で現地調査ができない場合は、主に最新の文献やウェブサイトを通じて、スマートコミュニティに関する開発の現状と方向性を把握する。
今年度末に準備したアンケート調査を実施し結果を分析する。この分析により、オピニオンリーダーとみなされる人たちが、太陽光発電システムに関するある制御変数に対してどのように意思決定しているかが明らかになる。この事実を逆に利用すれば、オピニオンリーダーとみなされる人たちに優先的に設置させ普及過程をより速めることが期待される制度設計が可能になる。この結果と今年度に実施した買取価格と補助金額の最適な組み合わせに関する研究成果を、それぞれ国際ジャーナルに投稿する。
今年度、ネットワークに関する最近の研究について知識を蓄積した。次年度では、スマートコミュニティを念頭においた、再生可能エネルギーの普及と省エネルギーを促進させる制度設計について、ネットワーク理論を応用して検討する。経済学的あるいは社会学的観点からのネットワークに関する先行研究のレビューと、新たな理論モデルの開発を目標とする。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額112,352円が生じたのは、論文投稿を次年度に延期したことによる:当初、今年度の成果である買取価格と補助金額の最適な組み合わせに関する研究を今年度中に国際ジャーナルに投稿する予定であった。そのための費用(英文校閲費や別刷購入費等)として当該金額相当を計上していた。しかし、この研究成果の内、「住宅用太陽光発電の自律的な普及を促すケース」についての結果までを論文に含めるとすると、今年度末に準備したアンケート調査を実施した結果についての論文とセットで投稿するのが望ましいと思われる。なぜならば、その結果を導く際に仮定した条件が常に成り立つことをアンケート調査等で示しておいた方がより頑健な結果となるからである。そのため、その論文の投稿を、アンケート調査の結果が得られる次年度に延期することに当該費用を繰り越すことにした。
次年度請求予定の研究費は、そのまま当初計画通り使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Optimal feed-in tariffs and subsidies for residential photovoltaic systems2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Yamamoto
    • 学会等名
      31st USAEE/IAEE North American Conference
    • 発表場所
      Austin, USA
    • 年月日
      20121104-20121107
  • [学会発表] 住宅用太陽光発電システム導入支援策について再考2012

    • 著者名/発表者名
      山本芳弘
    • 学会等名
      第31回エネルギー・資源学会研究発表会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20120605-20120606

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公開日: 2014-07-24  

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