最終年度では、主に2つの成果を得た。第1は、地域で再生可能エネルギーを有効活用するための施策について検討した。まず、先進事例としてドイツやデンマークなどをとりあげ、再生可能エネルギー協同組合に関する文献調査を行った。次に、この方法が日本でも適用可能であるか否かを調べるため、群馬県中小企業団体中央会、福島県中小企業団体中央会、福島太陽光発電企業組合などを訪問しインタビュー調査を行った。また、現行制度について文献調査も行った。その結果、日本では適用が難しいことが判明した。そこで、地域で再生可能エネルギーを有効活用するための方策について、経済学や社会学などいくつかの観点から考察した。研究成果は、国際会議(14th World Renewable Energy Congress、ルーマニア)で発表した。 第2の成果は、住宅用太陽光発電の普及策である設置補助金と電力買い取りの最適な組み合わせについて、理論モデルによるこれまでの研究結果をより明確にするため数値シミュレーションを行った。そして、一連の研究成果を論文にまとめ投稿した。 研究期間全体を通して、住宅用太陽光発電システムの普及策としての設置補助金と電力買い取り制度及び普及過程におけるオピニオン・リーダーの役割と活用、再生可能エネルギー発電が電力システムに悪影響を与えないように誘導する経済インセンティブ、地域で再生可能エネルギーを有効活用するための方策などについて、省エネルギーも考慮に入れて、検討した。理論モデル開発、シミュレーション、インタビュー、文献調査などの方法を用いて、成果の実際応用を念頭に研究を行った。特に、再生可能エネルギーを普及させるための施策、普及で生じる問題点を緩和する施策、普及が進んだ段階での施策という3つの観点から、政策立案において重要な情報となる成果を得た。
|