研究課題/領域番号 |
24560504
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
萩原 義裕 岩手大学, 工学部, 准教授 (80293009)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 画像計測 / 情報ネゴシエーション / 仮想空間生成 |
研究概要 |
現有設備をもとにソフトウェア開発とハードウェアの改良を行った.ソフトウェア開発として初年度は,本研究の中核となる部分に重点を置いてシステムの開発を行った.画像計測ブロックでは,いままで我々が開発してきたアルゴリズムに加えモーションセンサおよびカメラからの情報から姿勢を抽出するアルゴリズムを開発し,システムへの組み込みを行った.画像計測アルゴリズムなどから得られる計測・推定結果・誤差範囲・誤差確率・技術データベースの既知情報を入力としてトータルの誤差と仮想イメージ(形状と操作アクション)を生成する情報ネゴシエーションブロックは,姿勢など追加された操作アクションを利用できるように,また姿勢推定の際にフィードバックできるように改良した.複数の情報から価値のあるものを取り出す価値・精度判定ブロックは他の情報を補完し得る情報・他の情報とは異なるまったく新しいキー情報・熟練者の操作アクションのうち重要なポイントを取り出すことにより仮想空間上での再構成の精度向上と,知識を自動的な発見・付加を実現するものであるが,既存のアルゴリズムを改良し,情報の重みづけを行うように拡張した. ハードは基本的にはカメラとモーションセンサ・画像処理回路・認識用パーソナルコンピュータ・制御サーバ・モーターコントローラ・加工機・HDD・ディスプレイにより構成されている現有設備を用い,カメラの姿勢制御を行う装置の追加,モーションセンサから得られる操作者の姿勢や視線など,加工精度に影響するスキルベースの情報を取得するセンサ周辺とPCの計算速度の改善を行った.センサ周辺は長期利用に耐えられるよう耐振動,防錆化などの視点で改良を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モーションセンサおよびカメラからの情報から姿勢を抽出するアルゴリズムに関して,操作対象の機械に隠れる部分による影響が予想以上に大きく,取得した姿勢の精度が要求水準を満たすに至っていない.一方,仮想空間内での再構成に関しては計画以上に進展しており,トータルではおおむね順調に推移していると考えている.仮想空間内での再構成・モデルの変形に関して,モフォロジー処理を用いてモデル同士をフィッティングさせる手段を確立した.本手法は,従来手法によるフィッティングが困難な複雑な形状同士のフィッティングが可能である.本研究のアルゴリズムは,計測や知識獲得に関するさまざまな取組みを実用化へ向けて繋ぐ,実践的なリンケージ研究であり,ロボティクス,医療機器など様々な分野に容易に展開可能であるという点で波及効果及び普遍性があるが,今回の成果はその典型的なものであり,当該研究はもとより,製品の設計や医療機器のパーソナルカスタマイズなど,さまざまに応用できるという点で計画以上の展開を見せている. 現状では順調に進んでいるとは言えない,モーションセンサおよびカメラからの情報から姿勢を抽出する精度の向上策として,複数の特徴量から最適なものを抽出するという基本的なアプローチに基づき,さらにさまざまな特徴量を利用すべく多数の特徴抽出アルゴリズムを開発中であり,これが成功すれば,姿勢の抽出精度に関しては大幅な改善が見込めると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り,システムの性能試験とシステムの改良を進める.特に進展が遅れがちな多数の特徴抽出アルゴリズムの開発に力点を置くほか,計画以上に進展している仮想空間生成ブロックおよび操作アクションデフォルメブロックの改良にも力を入れる.後者に関しては,モデル同士をフィッティング精度の向上させるために,骨格情報同士を互い照合し,位置合わせを行うことにより,物体の形状や操作アクションを適切にデフォルメできるようなアルゴリズムを開発中であり,これの完成および評価試験の実施に次年度以降注力する予定である.また,特徴抽出アルゴリズム自体の精度を向上させるために,画像の2値化などの基本的な前処理の精度向上にも取り組む必要があるため,これに関しても改めて取り組む方向である.そのほかには(1)様々な加工を行い,加工誤差を評価する.また加工の際の工作機械の動作が適切であるかを評価する,(2)操作アクションの軌跡に基づき,手動操作との比較を行う.また,この操作アクションを初級者に対して手本として提示した場合の有用性を検討する,(3)補外に用いるパラメータを自動算出できるように改良する,(4)多数の事例・多数の操作者に基づいてデータベースを拡充する,など当初予定の主たる推進方策にもバランスよく進めるよう配慮する.なお,それ以外の(5)仮想空間を可視化し,シミュレータとして利用できるように改良する,(6)操作アクションデフォルメブロックと他のブロックとをネゴシエートできるように改良する,に関しては24年度に計画以上に進展をみたため,前述の改良を中心に進めそれ以外は必要に応じた改善にとどめる.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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