本研究の目的は,高度な技術者と同等またはそれをしのぐシステムの開発である.このシステムは,作業者の操作アクションなども考慮して仮想空間上で再構成した対象物体に仮想的なゆがみを与え,それらの誤差を最小化する.さらに,実際の対象物体の測定結果がそれぞれどれだけもっともらしいかをフィードバックして再計測・再構成を繰り返すことにより,より高精度な計測および制御が実現する.本研究では,これに加え,モーションセンサにより操作者の操作姿勢や微小な頭部の動きをとらえ,データの評価および加工時の計測に役立てるものである.多くのモーションセンサでは関節の位置情報のみを利用して角度情報を算出し姿勢解析を行う.これに対し本システムでは位置情報に加え,算出された角度情報,人間の標準姿勢など様々な情報をネゴシエーションして最適な姿勢を算出できる. 従来システムをもとにソフトウェア追加するハードウェア開発を行った.ソフトウェアは,モーションセンサおよび追加されたカメラからの姿勢抽出を行う部分を核として,取り出された様々な情報をネゴシエーションして最適な姿勢を算出するようにした.一方ハードウェアは作業者の姿勢に基づいて,精密な機械加工に必要な観測位置からの観測ができるようにした.これら開発されたシステムの性能試験とデータベースの拡充を行い,特に必要となったマンマシンインタフェースについてシステムの改良を行った.さらに,仮想空間を可視化し,シミュレータとして利用できるように改良した.以上を通して,技術者と同等またはそれをしのぐシステムを完成させる見通しを得た.
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