研究課題/領域番号 |
24560508
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
今野 和彦 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60125705)
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キーワード | 圧電振動子 / 定電圧駆動 / エッジ波 / 振動速度振幅 / 振動速度位相 / ドップラー振動計 / 超音波イメージング / 音響特性 |
研究概要 |
25年度は円柱状の寸法の大きな圧電振動子(直径60mm,厚さ40mm)を用いて,この振動子の表面に試料を置いた場合の物体の映像化のための理論的な解析と実験を行った.このために,①振動子の表面に物体を置いた場合の組み合わせを前年度用いた伝送線路モデルに置き換えて物体表面の振動速度特性のシミュレーションを行った.②物体が伝送線路になるため物体の表面振動速度はその厚さの関数となる.実験によって物体の厚さと振動速度の関係を測定し①の結果と併せて映像化できる物体の厚さについての考察を行った.③物体内を伝搬する速度は物体の音速により異なる.従って同一の厚さの物体であればパルス状の速度が観測される時刻が異なることから音速の違いによる映像化が可能であることが明らかになり,振動速度振幅の振幅モードと音速によって波面速度が異なることを利用した音速モードの2つの映像化の方法を考案し,これらを用いたシステムを構築すると共に振動速度分布や振動速度と駆動電圧の関係などの基礎的な特性測定実験を行うことができた.また,定電圧駆動法では振動子表面に任意の速度を与えることを利用して符号化パルス列の発生の可能性を探るための実験を行いバーカー符号に対応する振動速度波形を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
24年,25年までの研究の進展によりシステムの構築が終了し簡単な資料についてはイメージングが行われている.この成果は論文発表が行われている.また,システム全体について特許申請(特願2013-270010)を行うことができた.当初の計画ではシステムの構築の基礎的なデータを得るものであったが,これを超えてイメージングができる状況まで研究が進展しているため.
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として,電源インピーダンスの低い(Bipolar Amp:内部インピーダンス1Ω程度)電源を用いて定電圧駆動することにより駆動電圧と相似の振動速度波形を発生させ, ①物体と振動子の寸法の検討,②外部抵抗を接続し,振動子からみた電源インピーダンスを変化させて振動特性が想定通りになっているかの確認,③信号処理においては,1)レ-ザードップラ装置に用いられている光-速度変換の復調装置の周波数特性と空間分解能との間の定量的な測定,2)レーザー光の走査速度の高速化,3)レーザードップラー装置から得られる電圧データから申請のシグナルアナライザおよびベクトルシグナル信号処理によって解析信号に変換し複素データとして位相と振幅のデータおよびスペクトルデータに変換できるような信号処理を行えるようにシステムの構築を行う.④ 形状・寸法が明らかで音速などの音響特性が既知の物体をサンプルとして以下のシステム評価を行う.1)厚さが変化する物体(くさび状の板など)を用いて厚さと振動速度を測定し厚さ-速度分布特性を明らかにする.2)厚さ一定の物体に直径の異なる穴を開けこれをイメージングすることによって空間分解能を評価する3)空間分解能と駆動のパルス電圧の立ち上がり特性との関係を明らかにする.
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