研究課題
基盤研究(C)
近年,信号処理的な手法から撮像時間の短縮を目指す方法として,圧縮センシング(Compressed Sensing)のMRI応用が研究されている.本研究では,圧縮センシングの信号復元理論を組合せたMRIの超高速撮像の実現可能性について検討を行い,将来の医療福祉の改善に繋げることを目的とする.[1] 圧縮センシングのMRI三次元撮像への応用三次元の信号収集では,信号の間引きをランダムに設定できる次元が一次元増えて二次元となる.そのため,信号の収集が圧縮センシングを適用する理想的な条件に近づき,高い圧縮率が期待できる.医用画像を使用したシミュレーション実験から,信号収集比が同じであれば,二次元撮像に比べて三次元撮像の方が再生誤差が小さくなることが明らかとなった.また,同程度の画質を得る観点から考えれば,三次元撮像の方が圧縮率を高くできることが示された.[2] 画像再生の高速化圧縮センシングにより画像の再生では,きわめて多数の反復処理を必要とする.特に三次元データを扱う場合は計算コストが膨大になる.そこで,画像処理プロセッサ(GPU)の高い並列処理性を利用し,これを再構成処理に用いる方法について検討を行っている.GPUとGPU外のメモリとの間の通信は時間を要するので,再構成処理の殆どをGPU内で行えるようにコーディングを行った.その結果,これまでのところ,計算機のみを使用した場合に807秒を要していた計算をGPU(NVDIA Tesla c2075)の利用により59秒と13倍の高速化を達成することができた.
2: おおむね順調に進展している
[1] スパース性導入関数の検討 我々が提案するFREBAS変換と一般的に使用されることの多いウェーブレット変換と比較を行った.結果,2次元,3次元圧縮センシングにおいて,FREBAS変換の方が良好な画像を再生することを示すことができた.[2] 信号収集軌道の検討 同じ信号量であれば,カルテシアン座標よりもスパイラル軌道やラジアル軌道の方が画質に優れることが示された.また,カルテシアン座標では,二次元より三次元の方が画質に優れることが確認された.[3] GPGPUを利用した高速化 GPGPUに圧縮センシング再構成プログラムを移植した.GPGPUの利用により3次元の圧縮センシングを807秒から59秒に短縮することができた.
[1] 圧縮センシングのMRI位相拡散フーリエ変換法への応用我々は,これまで被写体関数の光学的なフレネル回折と同形の信号強度をもつ位相拡散フーリエ法(PSFT)について研究を行っている.そして,標本化定理を満足しない単一の信号から折り返しを回避した画像を再生するエイリアスレス再生法を創出している.この信号強度は被写体分布をぼかした様相なので間引きされた信号からでも極めて精度良く補間ができ,これまで圧縮センシングに類似した研究を行ってきている.このPSFT信号は,圧縮センシングに適用した場合に飛躍的に圧縮性能が高まることを我々と独のグループが独立に報告している.これについて2次元,3次元撮像に場合について理論的,実験的に検討する.[2] GPGPUを利用した高速化アルゴリズムの簡略化やGPGPUを複数使用する手法などにより,さらなる高速化を図る.
GPUコンピュータに450千円,科学技術計算ソフトウェアに220千円,国内旅費に300千円,外国旅費に280千円,謝金に170千円,その他に180千円
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