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2013 年度 実施状況報告書

圧縮センシングと位相拡散フーリエ法によるMRIの高速撮像と再構成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24560510
研究機関宇都宮大学

研究代表者

伊藤 聡志  宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80261816)

キーワード磁気共鳴映像法 / 圧縮センシング / 高速イメージング / スパース / GPU
研究概要

近年,信号処理的な手法から撮像時間の短縮を目指す方法として,圧縮センシング(Compressed Sensing)のMRI応用が研究されている.本研究では圧縮センシングの信号復元理論を組合せたMRIの超高速撮像の実現可能性について検討を行い,将来の医療福祉の改善に繋げることを目的とする.
良好な再生像を得る鍵は,画像にスパース性を与える関数の選択にある.我々はFREBAS変換を利用し,このスケーリング係数を多重に利用することによって再生誤差を大幅に低下させることに成功した.また,再生像の位相歪みに頑健な方法を提案し,本方法がハーフフーリエ法に比べて良好に画像再生を行えることを明らかにした.
MRIで利用されることの多いマルチスライス撮像に圧縮センシングを応用した場合に,どのような条件で再生像の品質が改善されるか明らかにした.さらに,圧縮センシングで問題となる再構成時間を短縮化する方法としてGPUを利用した高速化を図った.その結果,計算機のCPUを利用する場合に比べ,約10倍程度の高速化が達成された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

[1] スパース性導入関数の検討 ・・・ 我々が提案するFREBAS変換は,2次元,3次元圧縮センシングにおいて良好な映像を再生することを確認した.スパース性導入関数には,wavelet変換,curvelet変換などがあるが,FREBAS変換のスケーリング係数を多重に利用した方法では,観測マトリクスとのインコヒーレンス性を高く設定できるために極めて誤差の少ない画像を再生できることが確認された.また,位相歪みに頑健であり,位相歪みがある画像の再生に優れた特性があることが示唆されている.
[2] 位相歪みに頑健な圧縮センシングの検討 ・・・ MRIで得られる再生像には磁化率や装置誤差の影響で位相が存在し,これが再生像の品質を低下させる要因になることがある.位相歪みに頑健な圧縮センシングを提案し,良好な映像を再生している.従来,利用されてきたハーフフーリエ法と比較実験を行った結果,ハーフフーリエ法よりも位相歪みに頑健であることが確認された.
[3] 圧縮センシングのMRI位相拡散フーリエ変換法への応用 ・・・ 位相拡散フーリエ法は,通常のフーリエ法を基本とする撮像に比べ圧縮センシングに応用したときに良好な映像を再生できることがわかっているが,位相歪みがあるときは,正確な位相補正を必要とするためにその性能を発揮できない.我々は,位相を補正する新たなアルゴリズムについて良好な結果を得ている.
[4] GPGPUを利用した高速化 ・・・ GPGPUに圧縮センシング再構成プログラムを移植した.MRIの3次元撮像に圧縮センシングを応用した場合に,CPUのみの利用では810秒を要した再構成時間をGPGPUの利用により59秒に短縮した.また,圧縮センシングのマルチスライス撮像への応用では,478秒から77秒に短縮することができ,各種撮像方法へのGPU利用が進んでいる.

今後の研究の推進方策

[1] 圧縮センシングのMRI位相拡散フーリエ変換法への応用 ・・・ 我々は,これまで被写体関数の光学的なフレネル回折と同形の信号強度をもつ位相拡散フーリエ法(PSFT)による画像再構成について研究を行っている.そして,単一信号の標本化定理を満足しない信号から折り返しを回避した画像を再生するエイリアスレス再生法を創出している.この信号強度は被写体分布をぼかした様相なので間引きされた信号からでも極めて精度良く補間ができ,これまで圧縮センシングに類似した研究を行ってきている.この,PSFT信号は,圧縮センシングに適用した場合に飛躍的に圧縮性能が高まることを我々と独のグループが独立に報告している.これまで,位相歪みがある場合には再生像の品質低下が問題となっていたが,この品質低下を回避する方法を検討する.また, 2次元撮像,3次元撮像に場合について理論的,実験的に検討する.
[2] 位相歪みに頑健な方法の検討 ・・・ FREBAS変換のスケーリング係数を多重に利用すると,位相歪みのある画像でもきわめて良好に画像再生を行うことができる可能性を見出している.最適なスケーリング係数の選択や画質の評価を行い,従来法との比較を実施する.
[3] GPGPUを利用した高速化 ・・・ GPGPUを複数使用する手法などにより,さらなる高速化を図る.

次年度の研究費の使用計画

計算機の価格が当初予想より廉価だったため.
GPUコンピュータ…230千円, 科学技術計算ソフトウェア…120千円, 国内旅費…100千円, その他…300千円

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (8件)

  • [雑誌論文] 圧縮センシングのMRI マルチスライス撮像応用における画像再構成条件と再生像品質の関連2014

    • 著者名/発表者名
      伊藤 聡志, 原田弘章, 山田芳文
    • 雑誌名

      MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY

      巻: 32 ページ: 未確定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Compressed Sensing for Magnetic Resonance Imaging using Multi-scale FREBAS Transform2014

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ito, Yoshifumi Yamada
    • 雑誌名

      2014 International Workshop on Advantage Image Technology

      巻: Proceedings of IWAIT2014 ページ: 201-205

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Compressed Sensing for Magnetic Resonance with Phase Variation2014

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ito, Yoshifumi Yamada
    • 雑誌名

      IEEE International Symposium on Biomedical Imaging

      巻: Proceedings of ISBI2014 ページ: TuB06.10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] GPUを用いた三次元MRI圧縮センシング再構成の高速化2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 聡志, 齋藤 文彦, 荒井 博俊, 山田 芳文
    • 雑誌名

      MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY

      巻: 31 ページ: 167-175

    • DOI

      10.11409/mit.31.167

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 特集/GPU の基礎と医用画像への応用2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤聡志
    • 雑誌名

      MEDICAL IMAGING TECHNOLOGY

      巻: 31 ページ: 145-146

    • DOI

      10.11409/mit.31.145

  • [雑誌論文] An Efficient Compressed Sensing Reconstruction Robust to Phase Variation on MR Images2013

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ito, Kazuki Nakamura, Yoshifumi Yamada
    • 雑誌名

      International Society of Magnetic Resonance in Medicine 21th Scientific Meeting

      巻: Proceedings of ISMRM2013 ページ: 2604

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Reduction of Remained Artifacts in Alias-free Reconstruction of MR Images2013

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ito, Yoshifumi Yamada
    • 雑誌名

      International Society of Magnetic Resonance in Medicine 21th Scientific Meeting

      巻: Proceedings of ISMRM2013 ページ: 2675

    • 査読あり
  • [学会発表] MRI撮像次元数と圧縮センシング応用による画質の関連2013

    • 著者名/発表者名
      原田 弘章,伊藤 聡志,山田 芳文
    • 学会等名
      2013年映像情報メディア学会冬季大会
    • 発表場所
      芝浦工大
    • 年月日
      20131218-20131219
  • [学会発表] ハーフ・フーリエ法と位相歪みに頑健なMR圧縮センシングとの比較2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 聡志,中村 一喜,山田 芳文
    • 学会等名
      第41回日本磁気共鳴医学会大会
    • 発表場所
      アスティとくしま
    • 年月日
      20130919-20130921
  • [学会発表] 圧縮センシングのMRマルチスライス撮像への応用2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 聡志,原田 弘章,山田 芳文
    • 学会等名
      第41回日本磁気共鳴医学会大会
    • 発表場所
      アスティとくしま
    • 年月日
      20130919-20130921
  • [学会発表] GPGPUを用いた三次元MRI圧縮センシングの高速再構成2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 聡志,齋藤 文彦,山田 芳文
    • 学会等名
      第41回日本磁気共鳴医学会大会
    • 発表場所
      アスティとくしま
    • 年月日
      20130919-20130921
  • [学会発表] MRIの二次元と三次元撮像に対する圧縮センシング適用性評価2013

    • 著者名/発表者名
      原田 弘章,伊藤 聡志,山田 芳文
    • 学会等名
      第32回日本医用画像工学会大会
    • 発表場所
      産業総合技術研究所(東京)
    • 年月日
      20130801-20130803
  • [学会発表] 同量の信号収集比におけるMR圧縮センシングとハーフ・フーリエ法の比較2013

    • 著者名/発表者名
      中村 一喜,伊藤 聡志,山田 芳文
    • 学会等名
      第32回日本医用画像工学会大会
    • 発表場所
      産業総合技術研究所(東京)
    • 年月日
      20130801-20130803
  • [学会発表] GPGPUを利用した三次元MR圧縮センシングの高速再構成2013

    • 著者名/発表者名
      齋藤 文彦,伊藤 聡志,山田 芳文
    • 学会等名
      第32回日本医用画像工学会大会
    • 発表場所
      産業総合技術研究所(東京)
    • 年月日
      20130801-20130803
  • [学会発表] MRIの圧縮センシング応用における撮像次元と画質の関連2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤 聡志, 山田 芳文
    • 学会等名
      Advanced CT・MR2013
    • 発表場所
      軽井沢プリンスホテルウエスト
    • 年月日
      20130615-20130616

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公開日: 2015-05-28  

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