研究課題/領域番号 |
24560510
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
伊藤 聡志 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80261816)
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キーワード | 磁気共鳴映像法 / 圧縮センシング / 高速イメージング / スパース / GPU |
研究概要 |
近年,信号処理的な手法から撮像時間の短縮を目指す方法として,圧縮センシング(Compressed Sensing)のMRI応用が研究されている.本研究では圧縮センシングの信号復元理論を組合せたMRIの超高速撮像の実現可能性について検討を行い,将来の医療福祉の改善に繋げることを目的とする. 良好な再生像を得る鍵は,画像にスパース性を与える関数の選択にある.我々はFREBAS変換を利用し,このスケーリング係数を多重に利用することによって再生誤差を大幅に低下させることに成功した.また,再生像の位相歪みに頑健な方法を提案し,本方法がハーフフーリエ法に比べて良好に画像再生を行えることを明らかにした. MRIで利用されることの多いマルチスライス撮像に圧縮センシングを応用した場合に,どのような条件で再生像の品質が改善されるか明らかにした.さらに,圧縮センシングで問題となる再構成時間を短縮化する方法としてGPUを利用した高速化を図った.その結果,計算機のCPUを利用する場合に比べ,約10倍程度の高速化が達成された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
[1] スパース性導入関数の検討 ・・・ 我々が提案するFREBAS変換は,2次元,3次元圧縮センシングにおいて良好な映像を再生することを確認した.スパース性導入関数には,wavelet変換,curvelet変換などがあるが,FREBAS変換のスケーリング係数を多重に利用した方法では,観測マトリクスとのインコヒーレンス性を高く設定できるために極めて誤差の少ない画像を再生できることが確認された.また,位相歪みに頑健であり,位相歪みがある画像の再生に優れた特性があることが示唆されている. [2] 位相歪みに頑健な圧縮センシングの検討 ・・・ MRIで得られる再生像には磁化率や装置誤差の影響で位相が存在し,これが再生像の品質を低下させる要因になることがある.位相歪みに頑健な圧縮センシングを提案し,良好な映像を再生している.従来,利用されてきたハーフフーリエ法と比較実験を行った結果,ハーフフーリエ法よりも位相歪みに頑健であることが確認された. [3] 圧縮センシングのMRI位相拡散フーリエ変換法への応用 ・・・ 位相拡散フーリエ法は,通常のフーリエ法を基本とする撮像に比べ圧縮センシングに応用したときに良好な映像を再生できることがわかっているが,位相歪みがあるときは,正確な位相補正を必要とするためにその性能を発揮できない.我々は,位相を補正する新たなアルゴリズムについて良好な結果を得ている. [4] GPGPUを利用した高速化 ・・・ GPGPUに圧縮センシング再構成プログラムを移植した.MRIの3次元撮像に圧縮センシングを応用した場合に,CPUのみの利用では810秒を要した再構成時間をGPGPUの利用により59秒に短縮した.また,圧縮センシングのマルチスライス撮像への応用では,478秒から77秒に短縮することができ,各種撮像方法へのGPU利用が進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
[1] 圧縮センシングのMRI位相拡散フーリエ変換法への応用 ・・・ 我々は,これまで被写体関数の光学的なフレネル回折と同形の信号強度をもつ位相拡散フーリエ法(PSFT)による画像再構成について研究を行っている.そして,単一信号の標本化定理を満足しない信号から折り返しを回避した画像を再生するエイリアスレス再生法を創出している.この信号強度は被写体分布をぼかした様相なので間引きされた信号からでも極めて精度良く補間ができ,これまで圧縮センシングに類似した研究を行ってきている.この,PSFT信号は,圧縮センシングに適用した場合に飛躍的に圧縮性能が高まることを我々と独のグループが独立に報告している.これまで,位相歪みがある場合には再生像の品質低下が問題となっていたが,この品質低下を回避する方法を検討する.また, 2次元撮像,3次元撮像に場合について理論的,実験的に検討する. [2] 位相歪みに頑健な方法の検討 ・・・ FREBAS変換のスケーリング係数を多重に利用すると,位相歪みのある画像でもきわめて良好に画像再生を行うことができる可能性を見出している.最適なスケーリング係数の選択や画質の評価を行い,従来法との比較を実施する. [3] GPGPUを利用した高速化 ・・・ GPGPUを複数使用する手法などにより,さらなる高速化を図る.
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次年度の研究費の使用計画 |
計算機の価格が当初予想より廉価だったため. GPUコンピュータ…230千円, 科学技術計算ソフトウェア…120千円, 国内旅費…100千円, その他…300千円
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