研究実績の概要 |
細管内の可視化と形状計測を同時に実現する多波長ディジタルホログラフィによる新たな管内計測法の研究を行ってきた.ディジタルホログラフィ法では,異なる波長で記録したホログラムの再生像の位相差から測定対象の形状が,強度画像から画像情報が得られる.さらにホログラム記録に多波長を用いることで測定レンジの調節,分光情報及びカラーの画像情報が得られる.R,G,Bの3原色の光源を使用し,Rである赤色半導体レーザの注入電流を切り替えることで,形状計測用に波長差の小さな二波長を生成した. また,管内に挿入する円錐鏡に対しては,位置ずれと傾きを抑制するためにスペーサ付ロッドを作成し,これに円錐鏡を接着して管内において走査した.さらに,測定を全自動化するために,ロッドを操作する自動送り機構を新たに開発し,ステッピングモータの回転角度をPCにより制御することで全自動測定システムを構築した. 実験では,長さ150mm,内径14mmの銅,アルミ,真鍮パイプを使用し,それぞれの管内に異物や欠陥を想定した金属箔,亀裂,減肉,錆,穴などを作成し,自動測定によって測定を行った.結果としては,R,G,B光源による強度再生像から管内のカラー画像を取得し,半導体レーザの注入電流変調により生成した二波長による形状計測を実行し,管内の異物を特定することが可能になった.同時にPOF画像ファイバを用いた基礎研究も実施し,ホログラム伝送および管内走査システムへの使用を検討した。現在,入手可能なPOFイメージファイバでは今回の目的を実行することが難しいことが分かった. 形状計測においては,円錐鏡の位置ずれと傾きを補正するアルゴリズムを開発した.これにより,従来より問題となっていた管内表面形状計測の精度を向上することができた.GPUによる計算処理では,位相接続アルゴリズムの作成とプログラムの作成が行えた.
|