本研究の目的は、介護・福祉用ロボットのように人間に接するか接しないかの近距離の検出が必要な機器に対し、可聴音を用いて距離を検知する測距システムを実現することにある。(1) すでに提案されている可聴音域での定在波(位相干渉)を用いた距離推定に関して、様々な工夫を施し、性能の向上を図るとともに実際的な応用の可能性を検討した。(2)最小探知距離は送信波の帯域幅により定まるが、より近距離を測定するための方法を検討した。また、(3)従来の測距法は対象物の移動を考慮していないが、移動体の距離と速度の測定が可能な原理的手法を提案し、対象物とマイクロホンの両方が移動する場合に対する測距の可能性が示唆された。
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