研究課題/領域番号 |
24560534
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
吉田 久 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (50278735)
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研究分担者 |
小濱 剛 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (90295577)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 光トポグラフィー / 脳波 / 多次元生体信号 / 眼球運動 / 覚醒維持状態 / 時間-周波数解析 / 多次元自己回帰モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、従来知見のほとんどない「眠気に逆らい覚醒維持の努力をしている状態の脳・生理機能の解析をするために、近赤外光を利用した光イメージング計測と各種多次元生体電気計測の同時計測技術を実現させ、特に光イメージングと脳波計測における互いの長所を活かす統合的な計測技術の確立とその解析法に関する研究を行うことである。 初年度である平成24年度は、まず脳波解析と光イメージング解析の相補的な特徴量を抽出するために、これまでの研究成果と同一の実験条件を設定した実験を実施した。すなわち、「眠気に抗して覚醒維持を課した状態」において、光イメージングと多次元生体信号の計測(脳波、心電図、血圧、規準化脈波容積ならびに、眼球運動計測)を行った。 その結果、脳波計測の相補的な信号を計測するために導入した光イメージング信号には、脳活動による血中酸化・脱酸化ヘモグロビン量変化の成分だけではなく、心拍による血流量変化などの全身性成分や体動によるアーチファクトが少なからず含まれることが明らかになった。これらの脳活動成分以外の信号は無視できるレベルを遙かに超えており、その後の解析に大きな支障を来すことは明らかであったため、平成25年度に予定していたアーチファクト除去に関する研究を前倒しして実施した。 今回我々は、脳活動に関連するヘモグロビン変化量とそれ以外の要因に起因するヘモグロビン変化量を分離するために、2つの方法を検証した。一つはBOLD効果をモデル化し、脳機能成分と全身性成分に分離するものであるが、これは体動などによるアーチファクト除去には適していない。そこで、独立成分分析法を用い、アーチファクト成分を除去する方法をもう一つの方法を提案し、両者を組み合わせることによって、脳機能成分を抽出する方法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、光トポグラフィーによる計測信号に無視できないアーチファクトが混入していたため、計画していた実験を予定通り実施することができなかった。そこで、本来であれば次年度に実施する予定であった研究実施計画、すなわち、混入するアーチファクト除去法の開発を1年前倒しして実施した。その結果、独立成分分析法とBOLD効果をモデル化した信号モデルとを組み合わせることによって、光トポグラフィーに混入する脳機能に関連しないアーチファクトを除去することが可能となった。上述の状況から、当初の予定通りに研究実施計画は進まなかったものの、平成25年度の研究実施計画を前倒しするなどしたため、3年間全体で研究実施計画を考えた場合、概ね順調に研究目的の達成する方向に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、光トポグラフィーによる計測信号に無視できないアーチファクトが混入していたため、平成24年度に計画していた実験を予定通り実施することができなかったが、平成25年度に計画していたアーチファクト除去の研究開発を前倒しすることによって、これらの課題をある程度解決できた。そこで、まずは本来平成24年度に実施予定であった「眠気に抗して覚醒維持を課した状態」における光イメージングと多次元生体信号の計測(脳波、心電図、血圧、規準化脈波容積ならびに、眼球運動計測)を多数回実施し、これまでの研究成果を用いた時間-周波数解析法を適用して、従来知見と同様であることを確認する。同時に光イメージング技術により新たに計測した酸化ヘモグロビン、脱酸化ヘモグロビン、トータルヘモグロビンの変化量データの解析を行い、両者を比較することによって、それらの特徴パターンを評価し、新しい脳機能解析法の確立へ向けて研究を推進して行く。 本研究の目的を達成するために、脳波計測の長所と短所、光トポグラフィー計測の長所と短所を再度検証する。すなわち、脳波は脳神経活動の電気的な活動を捉えるため、時間分解能が高いが、空間的な分解能は低い。また、瞬きや眼球運動などによる電磁気的雑音の混入が脳波解析を困難にさせる。一方、光トポグラフィーは脳神経活動による血中の酸化・脱酸化ヘモグロビンの変化量を捉えるため、比較的空間分解能が高いが、時間分解能は低い。また、脳活動に由来する成分のみならず、表皮の血管中を流れる血液の影響が避けられない点や、心拍や運動による全身性成分の影響もあるという短所がある。このような点を整理し、検証することで、それぞれの長所を生かし、短所を補う新しい脳機能解析法の開発を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究実施計画として予定していた「眠気に抗して覚醒維持を課した状態」における光イメージングと多次元生体信号の計測(脳波、心電図、血圧、規準化脈波容積ならびに、眼球運動計測)の実験が、無視できないアーチファクトが光トポグラフィー計測信号に混入したために、計画通り実施できなかった。そのため、実験補助員に支払うべき謝金や、実験時に使用される電極やペーストなどの費用が予定より少額で済んだために、次年度使用額が発生した。平成25年度には、平成24年度に実施予定であった実験を行う予定であるため、本研究費は実験実施のため費用(実験補助のための謝金、および実験時に使用する消耗品費)として使用する計画である。
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