研究課題
本研究の目的は、従来知見のほとんどない「眠気に逆らい覚醒維持の努力をしている状態の脳・生理機能の解析をするために、眼球運動などによるアーチファクトの影響を受けない光イメージング計測と脳波の多次元的な解析法を確立することである。研究初年度である平成24年度に,まず脳波解析と光イメージング解析の相補的な特徴量を抽出するために、眠気に抗して覚醒維持を課した状態」において、光イメージングと多次元生体信号の同時計測を行った。その結果、光トポグラフィーによる計測信号は眼球運動によるアーチファクトの混入はないものの,心拍による血流量変化などの全身性成分や体動によるアーチファクトが無視できるレベルを遥かに超えて混入していた。これに対し,本研究代表者らはBOLD(Blood Oxygenation Level Dependent) 効果をモデル化し脳機能成分と全身性成分に分離する方法と、ICA(Independent Component Analysis) を用い体動アーチファクト成分を除去する方法を組み合わせ、脳機能成分を抽出する新たな方法を開発した。2年目の平成25年度は,上述の提案方法を利用し,覚醒維持に寄与しうる視覚刺激パターンの性質の知見を得るために,課題非依存性思考状態が認知パフォーマンスに与える影響の客観的な評価を行った.最終年度である本年度は,脳機能計測のもう一方のモダリティである脳波に混入するアーチファクト除去に関する研究を中心に行った。特に喫食時などに脳波に混入する筋電位を除去する方法としてIVA(Independent Vector Analysis)[10] を用いた方法の研究開発を行い,通常のICAでは除去できなかった筋電位も除去できることを見出した。これは光トポグラフィーに混入する体動アーチファクト除去にも強力な手段となり得る可能性もある.
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Proceedings of the 36th Annual International Conference of the IEEE Engineering in Medicine and Biology Society
巻: 2014 ページ: 2229-2232
10.1109/EMBC.2014.6944062
電子情報通信学会技術報
巻: 114(51) ページ: 37-42