研究課題
平成25年度成果により、SCSS試験加速器において有機DAST結晶を用いた電子バンチングの電気光学サンプリング(EOS)計測に世界で初めて成功した。一方、実験を重ねるにつれてEOS信号強度の低下が計測され、有機物が加速器内の過酷な状況下での使用で、放射線損傷によりDASTの電気光学活性が低下した事が主原因ではないかと検討されてきた。この検証として今年度は、オフラインEOシステムを構築し、DAST結晶のEOS特性を詳細に評価した。また、DAST結晶を加速器内に配置する際に最適な光学系を確保する為にDAST結晶の精密形状加工を検討し、ダイアモンド切削による形状加工技術を確立する事に注力した。EO計測に関しては、波長1μmのファイバレーザと高電圧交流電源を用いたオフラインEOSシステムを構築し、DAST結晶のみでなく新規BNA結晶や、従来EOS計測に広く使用されていたZnTe結晶に関してもEOS計測を行い、これらの特性を比較した。この結果、DAST結晶がEO感度及び高速応答性において最も優れた性能を有している事を確認した。現在は、加速器内に設置する前後でのDAST結晶のEOS特性をオフラインシステムで評価することで、放射線照射等によるEO活性低下の原因究明に取り組んでいる。更には今後、結晶品質向上に対するアニーリングの効果も本オフラインシステムを用いて検証する予定である。また、EOS計測の最適化の為には、As-grownのDAST結晶形状を計測条件に合わせて最適加工する必要がある。このため我々は、超精密ダイアモンド切削によるDAST結晶の加工にも取り組み、実験時の偏光や結晶軸等の方向も考慮して、DAST 結晶を最適な形状とサイズ、厚みで加工する事にも成功した。以上の成果により、今後DAST結晶を用いたフェムト秒スケー ルの電子バンチングEOS計測が一般化される事が期待される。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (18件) (うち招待講演 2件)
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