研究課題
応力発光体とは材料の弾性変形領域内における動的変形により光を発する非常にユニークな新機能性発光材料である。その大きな特徴は、応力発光体をナノサイズの微粒子にすると、それらの微粒子一つ一つがセンサ機能を有し、ミクロな分解能を有しながら、マクロなセンシング領域を実現可能なことである。したがって、それらの微粒子をバインダとなる塗料に混合し、構造物の表面に塗布すると動的な応力分布を発光強度分布として画像情報化することができる。本研究では、構造物、特に炭素繊維強化型高圧圧力容器を対象とし、その表面に応力発光塗膜センサを塗布して、内部に圧力を印加したときの発光パターンから、内部の疲労亀裂の発生位置・時刻を特定することを目的とする。まず、小型の水素用炭素繊維強化型高圧圧力容器の疲労試験を行い、必要なデータの収集を行った。炭素繊維強化型高圧圧力容器の場合、内部のアルミ層と外部の炭素繊維を含む樹脂層から構成される。単純な1層構造の鋼製容器と異なり、アルミ層内部に発生した疲労亀裂の応力場分布に与える影響が外部層表面に現れにくい。そこで、容器を加圧する際に得られる応力発光時系列画像を超空間の1点として、その分布状態に主成分分析を適用することで特徴イメージを生成し、その変動から貫通前の疲労亀裂位置および発生期間の特定に成功した。 また、応力発光体の発光特性の一つである残光と応力発光の独立性に着目した残光パターン除去法を提案し、有効性を実証した。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Proc. of 4th International Conference on Informatics, Electronics & Vision
巻: 1 ページ: 1/4