本研究課題では,交付申請書の「研究目的」欄に記載したように,「多リンク構造に幅を持たせた多角形領域を編隊の隊形として抽象化し,編隊の「先頭」の速度と「幅」の指令値を実現し,なおかつ先頭が通った経路に沿って隊形を制御する手法の構築」に関する研究を行ってきた.本研究では,狭隘地における群ロボットの移動を実現するために,ヘビ型ロボットのような多リンク構造に幅を持たせた多角形領域を複数ロボットの隊形として考えている.このような隊形の「抽象化」に基づき,操作員により隊形の「先頭」の速度と領域の「幅」指令値が与えられれば,先頭が通った軌道に沿って多角形領域が変化し,同時にロボットを領域内に制御する問題を考えた.このような問題に対して,以下の要素で構成された制御則を提案し,シミュレーションと実験による有効性検証を行った. (1)操作員により目標隊形の「先頭」の速度と領域の「幅」の指令値が与えられたとき,先頭が通った経路に沿って多角形領域を自動的に変化させる制御則 (2)目標隊形である領域の移動や変形にあわせてロボットを領域から出ないように移動させる制御則 (3)ロボットが領域から出ないだけでなく,ロボット同士の衝突や領域から出る危険性の低い最適配置に移動させる制御則 最終年度においては,前年度に引き続き,上記の制御則を発展させ,領域の幅を与える必要がなく,ロボット群のネットワークを表現したグラフの連結性を維持しながら障害物環境下で移動を行う方法に関する研究を行った.具体的には,連結性の維持と衝突回避が達成されるための条件の導出とシミュレーションによる有効性検証を行った.
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