研究課題/領域番号 |
24560547
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高井 重昌 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60243177)
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キーワード | 離散事象システム / 分散型故障診断 / リライアビリティ / スーパバイザ制御 |
研究概要 |
本研究では,安全・高信頼な制御系の実現を目指し,分散型離散事象制御系において,ネットワークの不具合などにより幾つかの診断器の判断が利用できなくなったとしても対象システムで発生する故障の検出を保証する,リライアブルな分散型故障診断法を確立することを目的としている. そこで,利用可能なローカル診断器のすべての判断が故障発生であれば,分散型診断器全体として故障が発生したと判断するような分散型診断について研究を行った.まず,n個のローカル診断器の内,最悪k個の診断器の判断のみが利用可能な場合でも故障の発生を検出できるという意味でリライアブルな,分散型故障診断問題の定式化を行った.そして,n個のローカル診断器の内,最悪k個の診断器の判断のみにより故障の発生を有限ステップ内で検出できることを保証する(n,k)-リライアブル可診断性の概念を定義し,対象システムにおいてそれが成立するか否かを有限オートマトン上で判定するアルゴリズムを開発した.さらに,最悪k個の診断器の判断が利用可能なもとで,故障の発生からその検出までの最長ステップ数を計算するためのアルゴリズムを開発した.平成24年度では,利用可能なローカル診断器の判断のうち,故障発生という判断が少なくとも一つあれば,分散型診断器全体として故障が発生したと判断するようなリライアブルな分散型故障診断についての研究を行った.今年度において,平成24年度とは異なる判断統合ルールのもとでの研究成果を得たことで,より広いクラスのシステムに対して,リライアブルな故障検出が可能となった. また,高信頼な離散事象制御系の設計においては,与えられた制御仕様が満足されるように,システムの動作を制限する制御器であるスーパバイザを構成する必要がある.そこで,状態遷移に非決定な不確かさが存在する場合のスーパバイザの構成方法を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2種類の判断統合ルールのもとで,n個のローカル診断器の内,最悪k個の診断器の判断のみにより故障の発生を有限ステップ内で検出できることを保証する(n,k)-リライアブル可診断性の概念を定義し,(n,k)-リライアブル可診断性が成立するか否かを判定するアルゴリズムおよび故障の発生からその検出までの最長ステップ数を計算するためのアルゴリズムの開発を行った.平成24年度に得られた成果はすでに査読付き学術論文誌に掲載されており,平成25年度に得られた成果も平成26年度に査読付き学術論文誌に掲載されることが決定している.このため,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度,25年度では,分散型故障診断において,ネットワークの不具合などにより幾つかの診断器の判断が利用できなくなるような状況を想定した研究を行った.それ以外にも例えば,事象の生起を観測するためのセンサの故障などにより,幾つかの事象の生起に関する情報が十分に得られなくなるような状況も考えられる. そこで本研究では,幾つかの事象の生起に関する情報が十分に得られなくなる状況が生じたとしても,システム内部での故障の発生を有限ステップ内で検出できることを保証する,リライアブルな故障診断に関する研究を進める.
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