研究課題/領域番号 |
24560548
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
和田 光代 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (70201259)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ディスクリプタシステム / 安定化 / 状態方程式制御器 / 線形行列不等式 |
研究実績の概要 |
ディスクリプタ方程式表現を用いて複合システムの解析・設計法を導出し、その手法を確立するために、前年度までの成果の見直しとさらなる拡張を検討した。具体的には、前年度に提案したベクトル値補助関数の導入による安定解析法について、その理論的裏付けの検討と拡張、そして検証を引き続き行った。一方で、ディスクリプタ方程式表現による非線形複合システム制御問題における基礎理論と位置づけられる線形ディスクリプタシステムに対するロバスト制御器設計問題において、前年度に引き続き、制御器が状態方程式表現されるための条件と状態方程式制御器設計法について、さらに詳細に検証を進めた。その結果として得られた成果は、現在、論文誌に投稿中である。 また、複合システムの実機検証として4脚受動的動歩行ロボットを取り上げ、胴体が背骨を模した複数の自由度を有する構造を持つものについて、その自由度の違いが歩行に与える影響の解析を実証した。得られた成果は、国際会議にて発表済みである。すでに実機実験によって解析されている受動的動歩行ロボットについて、今後は、ディスクリプタ方程式表現による複合システムとしてモデリングを行い、それを元に理論的に解析を行うことにより、受動的動歩行に内在する制御則の抽出を試みる予定である。 さらに、拘束条件下における多数の移動体の誘導制御問題について、複合システムとしてディスクリプタ方程式表現によるモデリングを行い、解析と制御則設計を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題で得られた成果を海外論文誌へ投稿したが、再度検討を要する査読報告を得たため、詳細に理論検証を行う必要が生じてしまった。一方、安定解析法において新たな手法を導出したため、その理論的裏付けの検討と理論拡張、例題による検証の進捗が当初の予定よりも遅れてしまい、分散制御則の検討にまで至らなかった。 また、複合システムの実機検証に参加しており、その実システムのモデリングに時間を要しているためである。
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今後の研究の推進方策 |
ベクトル値補助関数の導入による安定解析法をもとにした分散制御則の導出を行うと共に、サブシステム間結合の変化に伴う動作点移動可能な安定化制御則の導出も行う。 複合システムの実機例として取り上げた受動的動歩行ロボットについて、ディスクリプタ方程式表現による複合システムとしてモデリングを行い、それを元に理論的に解析を行うことにより、受動的動歩行に内在する制御則の抽出を試みる。 さらに、拘束条件下における多数の移動体の誘導制御問題について、複合システムとしてディスクリプタ方程式表現によるモデリングを行い、解析と制御則設計を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題で得た成果を海外論文誌へ投稿中であるが、査読期間が長引いているため、掲載が次年度になる見込みである。一方、安定定理において新たな手法を導出したため、その理論的裏付けの検討と理論拡張、そして、実機検証を行った実システムのモデリングの進捗が当初の予定よりも遅れている。その結果、上記の論文掲載費、計算機シミュレーション用経費、文献収集、成果発表旅費として予定していた経費が未使用となったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記理由に記載した研究成果の海外論文誌掲載費、そして、新手法の理論的裏付けと理論拡張、実システムのモデリングのための文献収集、計算機シミュレーション、成果発表旅費として使用予定である。
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