本研究では、申請者のグループが開発した基盤数値計算ライブラリ(NFC)および制御系モデリング・シミュレーションツール(Jamox)を多機能携帯情報端末(Android端末)へ移植し、マルチタッチ操作や端末に搭載されているセンサーを活用することで、操作性や利用満足度を向上させた制御系CADシステムを構築することを目的とする。今年度は具体的に以下の内容を実施した。 まず、Androidにおける3D描画APIであるOpenGL ESを用いてメカニカルシステムのシミュレーション結果を可視化する3Dアニメーションツールを開発した。開発に際しては、多機能携帯情報端末のユーザインターフェースの特徴の一つであるマルチタッチ操作を活用し、対象の移動、回転、ズームなどの動きを直感的に入力することができるようにし、操作性を向上させた。 次に、加速度センサーやジャイロスコープ等の多機能携帯情報端末に搭載されたセンサーを活用することで、制御系CADシステムおよび3Dアニメーションツールを楽しく、面白く、心地よく使用できるよう、シェイクを利用したブロック線図の操作UI等を提案し、ユーザエクスペリエンス(利用満足度)を向上させた。 そして、本研究で開発したモデリング・シミュレーションツールを複数のユーザに使用して頂くことでユーザビリティ調査を行い、本ツールの有用性を評価した。今後は、他大学の教員等に協力を依頼し、大学等の演習や実験で使用して頂き、できるだけ多くの人から評価を収集し、ユーザインターフェース等を改善していく予定である。
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