研究実績の概要 |
モデル予測制御(MPC: Model Predictive Control)は制約条件を満たしながら最適な運動を実現できるが,計算コストが高いことが実装上の問題となってきた.本研究は移動ロボットの制御用組込みCPUをターゲットに,最適化計算のコストの削減による実装を目指すものである. 平成26年度は,移動ロボットに実装した組込みCPU用MPCのプログラムの性能を実験を通じて検証した.また,経路追従性後に必要なLRF計測値に基づくMHE(Moving Horizon Estimation)による自己位置推定手法を確立した.さらに,車輪に横滑りを有する前輪操舵車両へのMPCの手法を開発した.具体的な成果は下記の通り. (a) 全方向移動ロボットに対して,運動学計算によって生じる幾何学的な制約条件をステージコストに組み込むことによって,計算速度を改善したMPCのリアルタイムプログラムを開発した.さらにそれを組込みCPU(SH7058F,80MHz)に実装し,リアルタイム制御実験を行った.その結果,操舵角度の飽和や切返しなど抑制した軌道追従制御を実現し,実験を通じて有効性を実証することができた. (b) 移動ロボットの自己位置推定のために,MHEによるLRFデータに対する自己位置推定法を開発した.その結果,間欠的な計測時にもロバストに自己位置推定する手法を実機で実現した. (c) タイヤに横滑りを有する車両に対するMPCを実現するために,時間軸状態制御系による低次元化とタイヤ力飽和を考慮した制御則や,タイヤ横滑り角の制約を考慮した制御手法を開発し,その有効性を検証した.
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