研究課題/領域番号 |
24560561
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
徳重 英信 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80291269)
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キーワード | 凍結融解 / ポーラスコンクリート / 天然ゼオライト / 変形 / スケーリング / 劣化 / 融点降下 |
研究概要 |
凍結融解作用を受ける天然ゼオライトを骨材と混和材に用いたポーラスコンクリートの劣化機構に対するアプローチとして,凍結融解試験をRILEM CIF試験を基にしたスケーリング試験により行い,供試体のスケーリングと埋込み型ひずみゲージを用いた変形の測定を行った。その結果,ポーラスコンクリートに普通骨材(砕石)を用いた場合には凍結融解作用による劣化(変形)劣化は殆ど認められないが,ポーラスコンクリートに普通骨材(砕石)を用いても、天然ゼオライト粉末を混和すると変形が増加することが明らかとなった。また,ポーラスコンクリートの粗骨材に天然ゼオライトを用いても劣化(変形)は認められず,さらに天然ゼオライト粉末を混和しても劣化(変形)は進まないことが明らかとなった。一方,ポーラスコンクリートの骨材として,天然ゼオライト細骨材を用いると変形が大幅に増加する。さらに粉末を混和すると、その変形はさらに増幅することが明らかとなった。 以上の検討結果から,天然ゼオライト骨材として用いた場合には,凍結融解環境下での劣化が抑制される可能性が示唆され,これには天然ゼオライト中の微細細孔の構造と細孔内水分の凍結挙動,さらに骨材周囲のマトリックスとの未凍結水の移動などが深く関わっていると考えられる。 今後,天然ゼオライトの細孔構造と物理化学的考察から,融点付近でのマトリックスの変形要因と氷点下での収縮挙動に及ぼす水-氷の相変化,さらに未凍結水移動に関する詳細な検討を行っていく予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コンクリート組織の変形については,概ね傾向をつかむことができている。しかし,未凍結水移動の検討に必要な内部組織の評価については,学内他研究室の機器などを貸借して評価する必要があり,先方とこちらの時間的制約などの諸条件から進展が捗っていない。他手段を講じながら,進めていく必要がある。また,海外における研究打ち合わせについては,不十分な点があるため,改善する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度においては,これまで得られたコンクリート組織としての変形挙動に試験結果を基に,内部組織構造の評価検討を深く推し進め,未凍結水の移動に関する検討を深化させる。また,乾燥収縮挙動での検討で用いられているコンクリート組織内の水分移動計測手法を参考に,凍結環境下での未凍結水の移動の測定に挑戦する。 一方,海外の研究協力者とのコンタクトをさらに深化させることにより,特にヨーロッパでのDriving Forceにおける考え方を導入し,独自の熱力学的考察を加えることにより,水分移動と劣化の関係について検討する。 以上までの検討結果から,研究の総括を行い,とりまとめを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外の研究者との打ち合わせにおいて,当初は研究代表者が海外に出向いて打ち合わせおよび研究を共同で実施することとしていたが,対象年度においては先方が来日することになり,国内での打ち合わせを実施したために,外国旅費の一部を国内での研究打ち合わせに変更したため。 今年度は海外の研究協力者が来日する予定がないため,現時点では昨年度実施する予定であった海外での打ち合わせの外国旅費の一部に充当する予定である。
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