研究課題
【最終年度の成果】平成26年度はパネル部材における繊維の配向と曲げ特性の関係を検討した。昨年度の実験により円形パネルの中心から超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を打込むと繊維は円周方向に配向することが示された。そこで,直径1200mm×厚さ50mm円形パネルの中心にUFCを打込み,硬化後にパネルの半径方向に対して0°,30°,60°および90°の方向に曲げ供試体を切出し,曲げ載荷試験と破断面の画像解析を行った。その結果,パネルから切出した供試体のひび割れ発生後の最大曲げ応力は,切出した角度により変化し,半径方向に対して0°と90°で切出した場合では,1:10程度の差が生じることが確認できた。また,破断面の画像解析の結果から,繊維の配向角度の変化にともなう曲げ強度の変化の割合は,配向角度の変化にともなう破断面における有効繊維本数の変化の割合とほぼ一致することを明らかにした。【期間全体を通じて実施した研究の成果】UFCを対象としてコンクリート内部における繊維の配向を可視化するために,無色透明なモデルコンクリート(可視化コンクリート)を用いることを提案し,標準曲げ供試体の型枠をはじめ種々の形状,寸法の型枠に打込み,繊維の配向の状況を確認した。硬化したUFC供試体を切り出し,切断面の画像解析を行った結果,可視化コンクリートと実際のUFCで繊維の配向は定性的には一致し,可視化コンクリートの有効性が示された。また,繊維が一定方向に配向した供試体から曲げ供試体を切り出し,繊維の配向と曲げ特性の関係を検討した結果,繊維の配向角度の変化にともなう曲げ強度の変化の割合は,配向角度の変化にともなう破断面における有効繊維本数の変化の割合とほぼ一致することを明らかにした。
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コンクリ ート工学年次論文集
巻: 36 ページ: 286-291
10th International Symposium on Innovation & Utilization of High-Performance Concrete Key Engineering Materials
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