本研究は、コンクリート構造物を対象に体積変化を伴うひび割れ予測の精度向上と現場に容易に適用できる新たな簡易解析手法の提案を目的としている。 前年度までの研究で、CP法の機能拡張と精度向上を図った。CP法は、3次元解析を2次元的に行えるため現場等で普及しているひび割れ予測手法であるが、従来のCP法では、自己収縮や張材の効果等は考慮できなかった。また、コンクリート中の水分移動を計算するモジュールがなかったため、乾燥収縮も考慮できなかった。そのため湿気移動解モジュールを追加するとともに機能拡張を行い、これらが考慮できるようにした。さらに、CP法では外部拘束係数が重要となるが、3次元解析結果との比較から外部拘束係数の再同定を行い精度の向上を図った。本年度は、ひび割れの発生予測だけではなく、ひび割れが発生した際に、発生したひび割れの幅がどの程度なのかが解析できるCPひび割れ幅法の機能拡張を行い、自己収縮や乾燥収縮、膨張材の効果も考慮できるようにした。 さらに、数値解析によらない計算手法として過去に蓄積された施工データから、機械学習の教師あり学習を用いるパターン認識モデルの一つであるサポートベクターマシンを用いて、施工データを入力することにより、数値計算を行うことなく、ひび割れが発生するかどうかを判定するシステムの構築を行った。
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