研究課題/領域番号 |
24560568
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
伊藤 幸広 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90223198)
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研究分担者 |
内田 慎哉 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70543461)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | コンクリート / 微破壊試験 / 棒形スキャナ / デジタル画像 / 削孔 / 塩化物イオン |
研究概要 |
平成24年度は,高解像度のセンサを搭載した新しい棒形スキャナを開発することを目的に研究を行った。1200dpiの高解像度センサを搭載した棒形スキャナを製作するために、次の点に留意した。①1200dpiのセンサに合わせた画像変換回路の設計を行う。②画像サイズが大きくなることによりA/D変換処理速度向上の検討を行う。③従来装置の記録メディア(SDカード)の対応性を確認し、データ転送速度が不足する場合には高速書き込みが可能なメディアの検討を行う。開発した高解像度棒形スキャナは,W81×H94×L662mmの外形寸法であり,質量は1522gである。読み取り解像度1200dpiのラインセンサを搭載し,画像処理速度も実用上問題の無い速度のものとなった。しかし,SDカードへの書き込みを行うとスキャニング速度が大幅に遅くなるため,USB接続したPCに直接画像を転送する方法とした。 高解像度棒形スキャナの分解能を検証した結果,1ピクセルの1辺の長さが21μmの高精細な画像が取得できた。方眼紙を添付したφ25mmの円管内のスキャニング画像より計測精度を評価した結果,主走査方向において0.02%,副走査方向において0.3%の計測誤差と,高い精度で計測が可能であった。色再現性においても,JIS標準色紙のスキャニング画像のRGB値は,無彩色および有彩色ともに高い再現性であった。 コンクリート孔のスキャニング画像の評価においては,コンクリート供試体を削孔し、孔壁面をスキャニングした画像より確認を行った。コンクリート削孔面の画像は,色調、精細さともに良好であった。また,スキャニング時の操作性および画像処理速度は,現場での使用を想定した場合においても良好であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,高解像度のセンサを搭載した新しい棒形スキャナを開発することを目的に研究を行った。1200dpiの高解像度センサを搭載した棒形スキャナを製作するための次の3点に留意して製作を行った。①1200dpiのセンサに合わせた画像変換回路の設計を行う。②画像サイズが大きくなることによりA/D変換処理速度向上の検討を行う。③従来装置の記録メディア(SDカード)の対応性を確認し、データ転送速度が不足する場合には高速書き込みが可能なメディアの検討を行う。 開発した高解像度棒形スキャナは,1200dpiのラインセンサを搭載したものであり,画像処理速度も実用上問題の無い速度のものとなった。しかし,SDカードへの書き込みを行うとスキャニング速度が大幅に遅くなるため,USB接続したPCに直接画像を転送する方法とした。従って,①,②の留意点については目的を達成したが,③については作業性の関係から判断して仕様を変更した。 開発した棒形スキャナの分解能を検証した結果,1ピクセルの1辺の長さが21μmの高精細な画像が取得できた。方眼紙を添付したφ25mmの円管内の画像より計測精度を評価した結果,主走査方向において0.02%,副走査方向において0.3%の計測誤差と,高い精度で計測が可能であった。色再現性においても,JIS標準色紙のスキャニング画像のRGB値は,無彩色および有彩色ともに高い再現性であった。以上のことから,高解像度のランセンサの特性を活かし,高精度および色再現性の高い棒形スキャナを開発することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究としては,次年度に棒形スキャナを用いた塩化物イオン浸透深さの検査方法の確立を行う。電位差滴定法と画像処理を用いた骨材量の補正による方法として次の方法で実験を行う。NaCl 混入量を変化させたコンクリート供試体を数種類作製し,乾式で削孔した際に発生した削孔粉を収集し、電位差滴定法によって塩化物イオン量を測定する。削孔粉は、所定の深さ毎全量収集するために、専用の集塵装置を作製する。棒形スキャナを用いて孔壁面の画像を取得し、骨材分布(骨材量)を画像処理によって算出する。所定の深さ毎に骨材量の偏差による塩化物イオン量の補正を行い、測定精度の検証を行う。実構造物においても同様の試験を行い、コア採取した供試体の塩化物イオン量と比較し測定精度について検討を行う。また、本試験方法の現場での操作性について調べる。 一方,硝酸銀溶液を噴霧した孔壁面の画像解析による方法についても検討を行う。実験方法としては,プレーンコンクリートおよびNaCl 混入量を変化させたコンクリート供試体を数種類作製する。乾式で削孔した孔内に硝酸銀溶液を噴霧し、棒形スキャナにより高精細なデジタルカラー画像を取得する。プレーンコンクリートおよびNaCl混入コンクリートそれぞれについて、モルタル部分および粗骨材部分の各ピクセルのRGB値を分析し、塩化物イオン量の違いによるRGB値もしくは輝度値の変化率を統計処理により求める。さらに骨材量の偏差による補正を行い、塩化物イオン量の深度分布を測定する方法について検討する。実構造物においても同様の試験を行い、コア採取した供試体の塩化物イオン量と比較し測定精度について検討を行う。また、本試験方法の現場での操作性について調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度には,研究目的を達成するために,以下の装置および材料を購入する予定である。 ・データロガ+チャンネルユニット(東京測器社製)(80万円×1台) (佐賀大学設置) ・試薬(硝酸銀)(5本) ・ひずみゲージ(30枚
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