研究課題/領域番号 |
24560570
|
研究機関 | 八戸工業大学 |
研究代表者 |
阿波 稔 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10295959)
|
研究分担者 |
迫井 裕樹 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30453294)
月永 洋一 八戸工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60124898)
|
キーワード | 土木材料 / 長寿命化 / コンクリート工学 / 維持管理工学 |
研究概要 |
寒冷地におけるコンクリート構造物は,凍結融解作用により表層劣化(スケーリング)を受けやすい環境下にある.一方で,コンクリートのスケーリングは,表層品質や塩化物を含めた供用環境の影響を大きく受けることが知られており,合理的な予防維持管理を実施するためには,それらの要因を適切に取り入れることが必要となる.そこで,本研究は,凍結防止剤の散布などにより,塩化物の作用を受ける寒冷地コンクリート構造物において,その表層品質と環境要因に着目し,潜伏期と進展期の劣化進行予測を核とした予防維持管理技術を提案するものである.平成25年度の研究成果の概要を以下に示す. 1.青森県内において4年以内に建設されたコンクリート構造物(ボックスカルバートおよび橋梁下部工)を対象として表層品質のフィールド調査を実施した.調査項目は目視評価(外観の変状),表層透気試験およびテストハンマーとした.それらの表層品質と施工要因,環境要因との関係を整理した.その結果,表面気泡と打重ね線,面的な微細ひび割れの評価点が全体的に低い傾向にあった.さらに,表層透気試験の結果より,乾燥している部位ほど面的な微細ひび割れが多く,表層透気係数も大きくなる傾向にあったことを明らかにした. 2.青森県で約30年間供用された橋梁下部工のコンクリート表面において,面的な微細ひび割れが多数確認されている.水掛かりの多い部位では凍結融解作用によるスケーリングが懸念されることから,表面含浸材による予防保全的な補修を試験的に行った.そして,現在市販されているけい酸塩系表面含浸材(10種類)を塗布したコンクリートのスケーリング抑止性試験を行い,最も効果の高い材料を選定し施工した.さらに,同含浸材を施工した構造物において表層透気試験や繰り返し流水試験等を利用した長期モニタリングを開始した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新設構造物(ボックスカルバートおよび橋梁下部工)において目視評価,表層透気試験等の表層品質評価を実施し,施工要因や環境要因がその品質に及ぼす影響について評価した.さらに,表層品質評価に基づき予防維持管理の観点から対策の選定やその効果を検証するためのデータ収集を開始した. 以上より,本研究はおおむね順調に進展しているものと判断される.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,平成24年度に実施した老朽化した実橋の詳細調査,平成25年度に実施した新設構造物の表層品質調査より得られた各種データの詳細な解析を進める.また,平成26年度は調査対象橋梁を増やし,質・量ともにデータの蓄積を図りたい.これにより,フィールド調査に基づき寒冷地コンクリート構造物の表層品質とスケーリング抵抗性の関係を評価するとともに,凍害ハザードマップの検討を進める予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
2/20に出席を予定していた東北大学インフラマネジメント研究センターのシンポジウムにインフルエンザのため欠席した. インフラマネジメントに関する情報収集のための調査旅費として使用する.
|