研究課題/領域番号 |
24560571
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 足利工業大学 |
研究代表者 |
宮沢 伸吾 足利工業大学, 工学部, 教授 (10157638)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高炉セメント / 自己収縮 / 化学組成 / 比表面積 |
研究概要 |
本研究では,高炉スラグ微粉末の混入量を40%および60%,SO3量を4%とした高炉セメントにおいて,高炉スラグ微粉末の比表面積を3340㎝2/gから4820㎝2/gの範囲とした場合において,20℃環境および温度履歴下におけるコンクリートの膨張および収縮ひずみの挙動評価を行った。高炉スラグ微粉末の比表面積を小さくすることで,コンクリートの初期材齢での膨張ひずみは大きくなり,自己収縮ひずみも小さくなった。また、自己収縮ひずみの温度依存性は,比表面積の小さい高炉スラグ微粉末を使用した場合に緩和された。コンクリートの自己収縮ひずみを推定する既往の予測式に高炉スラグ微粉末の比表面積の係数を加味することで、実用上満足できる精度で自己収縮ひずみを予測できることが明らかとなった。 高炉セメントの化学組成の影響については、セメントクリンカーの鉱物組成を変化させたセメントを試作し、これをベースセメントとした高炉セメントの自己収縮試験を実施しつつある。これまでの実験結果から、クリンカー中のC3S量の増大は、コンクリート初期強度を増加させるとともに、コンクリートの自己収縮も増加させることを把握している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、コンクリートの自己膨張・自己収縮に及ぼす高炉セメントの化学組成と比表面積の影響を把握することが主要な目標の一つである。今年度は、そのうち、高炉スラグ微粉末の比表面積の影響を実験により検討した。そして、比表面積の影響を加味した自己膨張・自己収縮ひずみの予測式を提案することができた。また、クリンカー中のC3S量が自己膨張・自己収縮に及ぼす影響について実験により把握している。二年目以降は、コンクリートの自己膨張・自己収縮特性に及ぼす高炉セメントの化学組成の影響について、その定量的評価方法を検討することとしている。したがって、本研究の初年度の成果としては、おおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高炉セメントの化学組成が自己膨張・収縮に及ぼす影響について検討するために、化学組成の異なる高炉セメントを用いたコンクリートについて自己収縮試験を実施する。そして、高炉セメントの化学組成が自己膨張・自己収縮に及ぼす影響について定量的に評価を行う。具体的には、セメントクリンカーの鉱物組成に着目した新たなセメントを試作し、それをベースセメントとした高炉セメントについて自己収縮試験を実施しつつあり、今後、その定量的評価方法を検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の必要性として主要な内容は次のとおりである。物品費としては、コンクリートの自己収縮の測定に必要なひずみ計および力学的特性の試験に必要な型枠等の購入費用を計上している。これらの実験に際しては、本学の学生に実験補助を依頼することとしており、そのための謝金が必要となる。さらに、コンクリート関連の国内外の学会に参加して、情報収集および成果発表を行うことを計画しており、そのための旅費が必要となる。
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