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2013 年度 実施状況報告書

CFRPの変形・耐荷メカニズム解明に向けた材料と構造の統合的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 24560575
研究機関北海道大学

研究代表者

松本 高志  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40301121)

キーワードCFRP / 曲げ部材 / 積層構成 / 画像計測 / 変形機構 / 耐荷機構
研究概要

本研究では,CFRP(炭素繊維補強プラスチック)構造部材の変形・耐荷挙動の力学的メカニズムの解明を,材料と構造の統合的アプローチにより行うことを目的として,以下の5項目に沿って実施する.(1)CFRP材料試験値の適用範囲の検討:小規模試験体の材料試験値は構造物での材料特性と異なる.その適用範囲を明らかにする.(2)CFRP構造解析用の材料特性値の検討:構造解析に用いる材料特性値を,材料試験値から合理的に得る方法を考案する.(3)CFRP構造部材の変形・耐荷機構の解明:異なる終局形態の実験を行い,画像計測と合わせて,変形・耐荷機構の解明を行う.(4)CFRP構造部材の変形・耐荷挙動の解析手法の構築:実験で観察された変形・耐荷挙動を再現できる有限要素解析手法と簡易推定式の構築を行う.(5)CFRP構造部材性能の観点からの最適積層構成の検討:構築した解析手法を用いて,最適な断面構成と中詰材の効果について明らかにする.
平成25年度については(3),(4)について実施し,以下の成果を得た.
(3)については,せん断スパン長を変えて曲げ載荷実験を行った.材料試験による特性値で算出した曲げ耐荷力は,異なるせん断スパン長に対しても実験値と概ね一致した.また,画像計測により得た変形場と材料試験による特性値に基づき破壊指標値の分布を得ることで,変形・耐荷挙動の把握をより明瞭に行うことができた.(4)については,CFRPの単層板破壊を考慮した解析を実施して,部材の非線形挙動の再現を行った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度については,(3)CFRP構造部材の変形・耐荷機構の解明,(4)CFRP構造部材の変形・耐荷挙動の解析手法の構築,について実施し,以下の成果を得た.
(3)については,せん断スパン長を変えて曲げ載荷実験を行った.材料試験による特性値で算出した曲げ耐荷力は,異なるせん断スパン長に対しても実験値と概ね一致した.また,画像計測により得た変形場と材料試験による特性値に基づき破壊指標値の分布を得ることで,変形・耐荷挙動の把握をより明瞭に行うことができた.(4)については,CFRPの単層板破壊を考慮した解析を実施して,部材の非線形挙動の再現を行った.
研究計画で当年度に予定していたことは概ね実施され成果が得られている.

今後の研究の推進方策

最終年度の平成26年度については,(5) CFRP構造部材性能の観点からの最適な断面と積層構成の検討,を構築した解析手法と推定式を用いて実施する.CFRPは引張強度に比較して圧縮及びせん断強度が低いため,一様な積層構成で対称断面の部材を作成するのは合理的ではない.上フランジ,ウェブ,下フランジにおいて,板厚,板幅,積層構成を変えることが合理的な断面につながる.また,中詰材を用いることで圧縮とせん断抵抗の増加を図る事も考えられるので,外殻材であるCFRPと各種の中詰材との相互作用を解析的に検討する.

次年度の研究費の使用計画

研究では次の5項目を実施することで研究目的を達成することとしている.(1)CFRP材料試験値の適用範囲の検討,(2)CFRP構造解析用の材料特性値の検討,(3)CFRP構造部材の変形・耐荷機構の解明,(4)CFRP構造部材の変形・耐荷挙動の解析手法の構築,(5)CFRP構造部材性能の観点からの最適積層構成の検討,である.2年度目である当該年度では(3)の継続実施と(4)の実施であり,最終年度は(5)を実施する.(3)と(5)の実験ケースの見直しに伴い,一部実験材料費を翌年度としたため25年度未使用額が発生した.
26年度には見直した実験ケースに基づき実験材料費として使用する.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 単層板破壊を考慮したCFRP 箱形断面梁の耐荷力と変形の検討2013

    • 著者名/発表者名
      松本高志・三重野嵩之・櫻庭浩樹
    • 雑誌名

      土木学会論文集A2(応用力学)

      巻: 69 ページ: I_653-I_664

    • 査読あり
  • [学会発表] 異なるせん断スパン長のCFRP 梁における破壊メカニズムの画像解析による検討2014

    • 著者名/発表者名
      倉井翔平・松本高志・林川俊郎・何興文
    • 学会等名
      土木学会北海道支部論文報告集
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道)
    • 年月日
      20140201-20140202
  • [学会発表] デジタル画像解析による変位計測精度向上の検討2014

    • 著者名/発表者名
      境俊宏・松本高志・林川俊郎・何興文
    • 学会等名
      土木学会北海道支部論文報告集
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道)
    • 年月日
      20140201-20140202
  • [学会発表] 高密度化による画像解析の精度向上の検討2014

    • 著者名/発表者名
      林浩毅・松本高志・林川俊郎・何興文
    • 学会等名
      土木学会北海道支部論文報告集
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道)
    • 年月日
      20140201-20140202
  • [学会発表] GFRP 梁の断面寸法が曲げ特性に及ぼす影響の検討2014

    • 著者名/発表者名
      竹津宗平・松本高志・林川俊郎・何興文
    • 学会等名
      土木学会北海道支部論文報告集
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター(北海道)
    • 年月日
      20140201-20140202

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公開日: 2015-05-28  

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