本研究では,構造物のモニタリングデータから入力と出力との間の関係に含まれる非線形性の発現・変化を迅速に分析・評価できる,新しいデータ分析手法およびDamage Indexを提案するため,①局所的変化に着目したデータ異常検出手法と,入力と出力との間の関係に含まれる非線形性を評価する「非線形量(DON)」の考え方を組み合わせたデータ分析プログラムの開発,②複数の非線形要因を考慮すべく詳細なモデリングを行った実構造物の地震時損傷シミュレーションによる提案手法の有効性検証,③実大構造物実験データに基づく検証,④実際に東日本大震災で被災した橋梁モデルでの検証,⑤センサ位置の提案に対する検討を実施するとともに,⑥モニタリングシステムへの実装を目指す検討を行った. 平成26年度は,平成25年度に引き続き,平成24年度に開発した時系列データ分析プログラムおよび動的DON指標について,実大構造物実験データに基づく妥当性および適用性の検証を行うとともに,実際の東日本大震災で被災した構造物を対象にしたシミュレーションによる適用性の検討,および,損傷を検知する適切なセンサ配置の提案の検討,モニタリングシステムへの実装を試みた.特に,平成26年度は,実大構造物実験データに基づく妥当性を確認し,シミュレーションによる検証を実施した.
|