最終年度である平成26年度は,まくらぎ位置のずれに関する確率分布を設計変数として設定し,振動低減に有効なまくらぎ配置を模索した.具体的には,ある確率分布に従うまくらぎ間隔を有する軌道を多数生成し,その下で動的応答解析を実施して,振動低減に有効な分布について検討を行った.解析では,まくらぎ位置のバラツキが正規分布に従うものの他に,平均まくらぎ位置の前後に連続に一様分布する場合,およびある値から最大±2.5cmまでの範囲に一様に分布する場合の3ケースを対象とした.その結果,最後のケースに対して最も大きな応答振幅低減効果が認められた.ただし,以前に求めた最適なまくらぎ配置の場合程の効果は得られなかった. また,走行車輪・軌道連成解析を通して,まくらぎ間隔が既存の軌道におけるバラツキを有する場合と,本研究で得た最適配置を有する場合を対象に,レール振動により発生する騒音の低減効果についても検証した.その結果,まくらぎにより離散支持されたレールと車輪との共振に対応する100Hz以下の比較的低い周波数域では,まくらぎ間隔にバラツキを設定することで,騒音レベルが多少増減する傾向が認められた.一方,まくらぎ間隔の最適化の際に対象とした1000Hz近傍のレール共振については,当該の最適間隔の場合において,車輪走行速度によらず,騒音低減効果が認められた. 研究期間内に行ってきた様々な検討結果より,本研究で求めた最適なまくらぎ配置が,まくらぎ位置を節とするピン-ピン共振に対して最も大きな振動・騒音低減効果を有することがわかった.また,実際の軌道に存在するまくらぎ間隔のバラツキは,ピン-ピン共振の低減に多少は寄与し得るものの,上述の最適配置程の効果を持たないことがわかった.
|