研究課題/領域番号 |
24560581
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
大西 弘志 岩手大学, 工学部, 准教授 (70283728)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 維持管理工学 |
研究概要 |
2012年度は道路橋床版内部の水平ひび割れ発生要因の一つとして床版コンクリート打設時に発生することが予想される、コンクリート若齢時の収縮ひずみの発生状況について調査を行った。 まず、コンクリート打設時に鉄筋周辺のコンクリートに生じる収縮ひずみを汎用有限要素解析により計算してみたところ、鉄筋の上下に鉛直方向の引張ひずみが生成されることが明らかとなってきた。この点については現時点のモデルでは十分といえないので、2013年度にはより正確な挙動を再現できるモデルによる検討を行う予定である。 また、実際の収縮ひずみの発生状態を確認するための要素試験を実施し、コンクリート打設から2週間程度のデータを採取した。その結果として、これまでに計測されていた水平面内もしくは鉄筋に生じるひずみから考えられる挙動とは全く異なる挙動が記録されていたことが判明し、この点について更なる検討が必要であるものと考えられる。 以上のことから、現在得られている知見からは決定的であるとはいえないものの、当初の予想であるコンクリートの「若材齢時の収縮ひずみ」が水平ひび割れ発生の駆動力の一つである可能性が十分にあることが強く示唆されており、鉄筋コンクリート床版内部の水平ひび割れの発生メカニズムの一つを解明できる可能性は非常に高まったものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題では輪荷重走行試験によるシミュレーションを計画に含んでいたが、研究代表者の所属機関の変更により輪荷重走行試験機の使用が本研究課題の予算内では不可能となり、この系統の検討が進んでいない。これに対し有限要素解析やそれを補強するための実験は順調に進行しており、この部分ではコンクリート若材齢時の収縮ひずみが十分に水平ひび割れの原因足りうるだけの影響をもつことが可能であることを確認できており、ほぼ予定通りの進捗であると考えている。 以上のことを総合的に判断すると「やや遅れている」と判断せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では鉄筋コンクリート床版内の水平ひび割れの発生・進展過程を確認することが重要な目的であるため、この目的を達成するための各種研究を推敲することが必要である。そのためには、まず、研究代表者の所属機関の変更により実施できない状況となっている輪荷重走行試験に代わる試験方法を開発し、実施することを考えている。現在は本研究課題の置かれている環境から、より安価で代替試験として有効な載荷条件を実現するための方策を検討しており、2013年度内には実施できる見通しである。 また、解析的アプローチに関しては、従来よりも詳細なモデルを構築することにより、ある程度の成果を収められるめどが付きつつあるので、従来通りの方針を堅持し、研究を推進する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額(B-A)が0円のため、該当なしです。
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