研究課題/領域番号 |
24560585
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森田 千尋 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60230124)
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研究分担者 |
松田 浩 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20157324)
奥松 俊博 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30346928)
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キーワード | 長寿命化 / 維持管理 / 小規模橋梁 / ワッペン式暴露試験片 / 画像解析 / 三次元写真計測 / 三次元FE解析 |
研究概要 |
本研究においては,離半島地域における小規模鋼橋の腐食状況の実態調査を行い,代表的な数橋にはワッペン式曝露試験片を設置し,腐食環境および腐食減耗量を測定・予測する。さらに,橋梁全体を有限要素モデル化した鋼橋の解析を行う。以上より塗装橋における塗替え不要の可否を検討することを目的とし,本年度は,次の3つの研究を行った。 (1) 腐食減耗量の測定・予測:昨年度設置したワッペン式曝露試験片の1年曝露を採取し,腐食減耗量を調べた。また,1年曝露試験結果を用いて100年後の長期腐食予測を行ったところ,長崎市内の山間部および海岸部の橋梁は,0.16~0.98mm程度と1.0mm以下の腐食減耗量であり,概ね問題ない橋梁だと考えられる。しかしながら,離島の橋梁においては,0.14~2.23mm程度と1.0mmを超える部位が数ヶ所あり,処置方法を検討すべき橋梁だと考えられる。 (2) 腐食環境評価および外観評価:腐食環境評価においては,昨年度に引き続き,ACMセンサー,温湿度および付着塩分量より腐食環境を明確にした。また,外観評価においては,昨年度から実施している三次元写真計測に加え,新たに画像解析による耐候性鋼橋梁の健全度評価を実施した。画像解析を用いた簡易な方法により外観評価ができることを明らかにし,腐食環境と外観評価の関連性を明らかにした。 (3) 三次元FE解析による健全度評価:昨年度作成した長崎県内にある構造形式の異なる複数の橋梁の三次元FE解析モデルに加え,さらに数橋の三次元FE解析モデルを構築した。また,これらの橋梁に対して,分割数の検討,支承のモデル化の検討,部材要素の検討を行った。構築したモデルの妥当性においては,レーザドップラ速度計を用いた計測結果と比較し,実橋梁の三次元FE解析モデル化の妥当性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要にあるように,離半島地域における小規模鋼橋の腐食状況の実態調査とワッペン式曝露試験片を用いた長期腐食予測については,順調に進展している。 また,耐候性鋼橋梁の健全度評価のため,画像解析を用いた健全度評価を新たに行った。 三次元FE解析による健全度評価についてもおおむね順調に進展しており,以上のことから,「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策については,平成25年度に得られた3つの研究をもとに,腐食環境・腐食減耗量の測定・予測および三次元FE解析・画像解析を行い,塗装橋における塗替え不要の可否を検討する。具体的には,以下のように進めていく。 腐食環境および腐食減耗量の測定・予測においては,1年曝露および2年曝露のワッペン試験片の腐食減耗量から,より精度の高い長期的な腐食減耗量を予測する。また,同じく平成24年度から計測しているACMセンサーによるデータなどにより,腐食環境を明確にする。 三次元FE解析による鋼橋の健全度評価においては,新たに実施した画像解析による健全度評価により,総合的な鋼橋の健全度評価を実施する。 以上の結果から,腐食環境の異なる橋梁,部位毎の腐食減耗量を予測し,塗装橋における塗替え不要の可否を検討するとともに,離半島地域における小規模鋼橋の腐食状況を把握し,その健全度評価について得られた結果を取りまとめ,成果の発表を行う。
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