溶接未溶着を有する鋼構造物の延性き裂の発生に対する評価手法の開発に関する研究

2014 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 24560588
• 研究機関: 名城大学
• 研究代表者: 葛 漢彬 名城大学, 理工学部, 教授 (90262873)
• 研究期間 (年度): 2012-04-01 – 2015-03-31
• キーワード: 溶接欠陥 / 鋼製梁－柱隅角部 / 延性き裂 / 切欠き / 耐震性能

研究実績の概要

本研究は，鋼製橋脚隅角部における溶接継手部の溶接脚長や溶け込み深さの分布による，延性き裂の発生・進展への影響を明らかにすることを目的とし，鋼製橋脚隅角部の継手内に溶接未溶着が内在する実験供試体を製作し，繰り返し載荷実験を行った一連の研究の一環として行ったものである．既往の研究では十字継手の溶接部に，0.5mmのルートギャップが設けられていたが，本年度はルートギャップが存在しない場合における延性き裂の発生・進展挙動を溶接未溶着比率を用いて検討した．その結果，未溶着比率がき裂の発生と進展に大きく影響することが分かった．また，未溶着率が同程度であれば，ルートギャップが存在しない場合においても，存在する場合と同じ傾向があることを確認し，ルートギャップが0.5mm程度の場合ではルートギャップの有無に大きな違いがないことが明らかになった．
なお，鋼構造物における延性き裂の発生，進展および破断のメカニズムの解明を図るために，切り欠きの位置が延性き裂の発生から破断までの挙動に及ぼす影響を実験および有限要素解析で調べた．単調載荷下で切り欠きの位置が異なるレ形開先溶接継手の実験結果を基に解析モデルを作成し，実験結果と解析結果の比較を行うことで，切り欠きが溶接継手におけるき裂の発生・進展・破断に及ぼす影響について検討した．

研究成果

• [雑誌論文] Experimental and Ductile Fracture Model Study of Single-Groove Welded Joints under Monotonic Loading (2015)
  • 著者名/発表者名: Kang, L., Ge, H.B. and Kato, T.
  • 雑誌名: Engineering Structures 巻: 85(2) ページ: 36, 51
  • DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.engstruct.2014.12.006
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] 溶接継手の破壊メカニズムの解明に関する基礎的研究 (2015)
  • 著者名/発表者名: 加藤友哉，康 瀾，葛 漢彬
  • 雑誌名: 土木学会論文集A1（構造・地震工学） 巻: 71(4) ページ: 印刷中
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] せん断応力と引張応力が作用する鋼材の延性破壊メカニズムの解明に関する研究 (2015)
  • 著者名/発表者名: 篠原一輝，賈良玖，加藤弘務，葛 漢彬
  • 雑誌名: 土木学会論文集A1（構造・地震工学） 巻: 71(4) ページ: 印刷中
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] ルートギャップを有さない継手溶接部の未溶着比率が鋼製橋脚隅角部の延性き裂発生・進展に及ぼす影響 (2015)
  • 著者名/発表者名: 加藤弘務，葛 漢彬，羽田新輝
  • 雑誌名: 土木学会論文集A1（構造・地震工学） 巻: 71(4) ページ: 印刷中
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Predicting Ductile Crack Initiation in Steel Bridge Piers with Unstiffened Box Section under Specific Cyclic Loadings using Detailed and Simplified Evaluation Methods (2015)
  • 著者名/発表者名: Kang, L. and Ge, H.B.
  • 雑誌名: International Journal of Advances in Structural Engineering 巻: 18 ページ: 印刷中
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Experimental Study on Cracking of Thick-walled Welded Beam-column Connections with Incomplete Penetration in Steel Bridge Piers (2014)
  • 著者名/発表者名: Jia, L.J., Ge, H.B., Suzuki, T. and Luo, X.Q.
  • 雑誌名: Journal of Bridge Engineering, ASCE 巻: 20(4) ページ: 04014072-1, 9
  • DOI: http://dx.doi.org/10.1061/(ASCE)BE.1943-5592.0000659
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Effect of Post Weld Treatment on Cracking Behaviors of Beam-Column Connections in Steel Bridge Piers (2014)
  • 著者名/発表者名: Jia, L.J., Ge, H.B. and Suzuki, T.
  • 雑誌名: Steel & Composite Structures 巻: 17(5) ページ: 687, 704
  • DOI: http://dx.doi.org/10.12989/scs.2014.17.5.687
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Experimental Study on Seismic Performance of Partial Penetration Welded Steel Beam-Column Connections with Different Fillet Radii (2014)
  • 著者名/発表者名: Ge, H.B., Jia, L.J., Kang, L. and Suzuki, T.
  • 雑誌名: Steel & Composite Structures 巻: 17(6) ページ: 851, 865
  • DOI: http://dx.doi.org/10.12989/scs.2014.17.6.851
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [学会発表] 溶接ビードの有無による溶接継手の延性破壊への影響に関する実験的研究 (2015)
  • 著者名/発表者名: 加藤友哉，賈 良玖，葛 漢彬
  • 学会等名: 土木学会中部支部平成26年度研究発表会
  • 発表場所: 豊橋技術科学大学
  • 年月日: 2015-03-06
• [学会発表] 繰り返し荷重下でせん断応力と引張応力が同時に作用する鋼材の延性破壊実験 (2015)
  • 著者名/発表者名: 篠原一輝，賈 良玖，加藤弘務，葛 漢彬
  • 学会等名: 土木学会中部支部平成26年度研究発表会
  • 発表場所: 豊橋技術科学大学
  • 年月日: 2015-03-06
• [学会発表] せん断応力と引張応力が作用する鋼材の延性破壊実験 (2014)
  • 著者名/発表者名: 篠原一輝，賈 良玖，加藤弘務，葛 漢彬
  • 学会等名: 土木学会第34回地震工学研究発表会
  • 発表場所: まちなかキャンパス長岡（新潟県長岡市）
  • 年月日: 2014-10-09 – 2014-10-10
• [学会発表] ルートギャップを有さない十字継手部の溶接欠陥が鋼製橋脚梁－柱接合部の延性き裂発生・進展に及ぼす影響 (2014)
  • 著者名/発表者名: 葛 漢彬，加藤弘務，羽田新輝
  • 学会等名: 土木学会第34回地震工学研究発表会
  • 発表場所: まちなかキャンパス長岡（新潟県長岡市）
  • 年月日: 2014-10-09 – 2014-10-10
• [学会発表] 切り欠き位置がレ形開先溶接継手の破壊性状に及ぼす影響に関する実験および解析的研究 (2014)
  • 著者名/発表者名: 加藤友哉，康 瀾，葛 漢彬
  • 学会等名: 土木学会第34回地震工学研究発表会
  • 発表場所: まちなかキャンパス長岡（新潟県長岡市）
  • 年月日: 2014-10-09 – 2014-10-10
• [学会発表] 切り欠きの有無によるレ形開先突合溶接鋼部材の力学特性に及ぼす影響に関する解析的研究 (2014)
  • 著者名/発表者名: 加藤友哉，康 瀾，葛 漢彬
  • 学会等名: 土木学会第69回年次学術講演会
  • 発表場所: 大阪大学
  • 年月日: 2014-09-10 – 2014-09-12
• [学会発表] 繰り返し引張・圧縮荷重を受ける鋼管ブレース材の座屈とき裂の連成に関する弾塑性有限変位解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 加藤友哉，康 瀾，葛 漢彬
  • 学会等名: 第17回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム
  • 発表場所: 土木学会（東京）
  • 年月日: 2014-07-01 – 2014-07-02