自然地盤の粘土は粒子間に固結力(セメンテーション)を持つ物も多いが,この固結力を持つ粘土におよぼす試料採取(サンプリング)に伴う応力解放や乱れの影響を調べた研究は少ない。そこで本研究ではこの固結力を持つ粘土におよぼす応力解放や乱れの影響を調べることを目的とした。この研究では,はじめに,一連の定ひずみ速度圧密試験,一軸圧縮試験,三軸圧縮試験を行い,均一性の高い固結力を持つ粘土を人工的に作成する方法について研究した。その結果,セメントを添加した予圧密粘土を試料とすることにより,均一性の高い固結力を持つ粘土を人工的に作成できることを確認した。次にこのセメント添加粘土を試料とする三軸試験器を用いたサンプリングに伴う応力解放と乱れのシミュレーション実験を行った。行った実験はK0圧密非排水せん断試験,応力解放のシミュレーション試験,乱れと応力解放のシミュレーション試験,再圧縮法のシミュレーション試験,SHANSEP法のシミュレーション試験である。これらの実験結果から,乱れや応力解放によって試料の特性が変化してしまうものの,乱れや応力解放を受けた試料に対してSHANSEP法を適用することにより,サンプリング前の試料の本来の特性を再現することができる可能性があることを明らかにした。また固結力を有する粘土の力学特性は過圧密と関連させて考察されることが多いことから2014年度にはセメンテーションを有しない過圧密粘土の研究も行っている。
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