研究課題
本研究は,地震および波の相互作用に対する盛土構造物の安定性に着目して,繰返し載荷履歴を受けた盛土構造物の崩壊のメカニズムの解明とその危険度評価法を提案することを目的とする。近年の地盤災害を考えると,地震動と他の外的要因の影響を複合的に考慮する必要があり,より高度でかつ信頼性の高い評価法を提案することが急務であると言える。ここでは,現有している二次元平面ひずみ模型土槽内に一次元(1自由度)の繰返し振動載荷履歴を与えることが可能な装置を付設し,地震動と波の載荷履歴を与えた模型実験を実施し,実務に適用可能な盛土構造物の耐震・耐波に対する評価手法の検討を行う。本年度は,盛土の締固め密度と初期含水比状態を変化させた模型火山灰盛土について,繰返し振動載荷履歴を与えた後に,耐波性能を明らかにした。以下にその結果を示す。(1)波の侵食及び繰返し載荷を受けた盛土斜面では,初期含水比の違いや繰返しせん断履歴の影響によって耐波性能が変化する。特に,乾燥側の含水比では湿潤側のものと比べて,侵食速度は大きく,急激に崩壊が進行する。(2)締固め度の違いは斜面が保持する強度および斜面崩壊に至るまでの時間に影響を及ぼす。特に,締固め度Dcが90%以上になると,斜面崩壊に至るまでの時間に変化は現れない。(3)動的振動によるせん断履歴の違いは,斜面のすべり抵抗ならびに斜面崩壊へ至る時間や斜面崩壊の形状に影響を及ぼす。(4)地震動のような外力によって発生する盛土斜面内のせん断ひずみの把握は,斜面の安定性を議論する上で重要である。
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Proceedings of the 15th Asian regional conference, ISSMGE
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