研究課題/領域番号 |
24560598
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池田 清宏 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50168126)
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研究分担者 |
山川 優樹 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80324010)
田村 洋 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10636434)
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キーワード | 送電鉄塔 / 基礎不同変位 / 余耐力 / 送電鉄塔-地盤連成系 |
研究概要 |
本研究では,地震などによる地盤変形による送電鉄塔基礎の不同変位と,それに伴う鉄塔の損傷を定量的に評価し,損傷を受けた地盤-基礎-鉄塔-送電線連成系の耐風終局強度および損傷後の健全性(補修・新設の要否や継続使用の可否等)を合理的に評価することを目的とする.地震動による典型的な地盤破壊形態を対象とし,架空線-風連成解析により鉄塔に作用する風外力を評価し,地盤-基礎-鉄塔連成系の3次元・大変形・弾塑性解析により,地震後の鉄塔の耐荷・変形性能を明らかにする. 研究期間の2年目にあたる平成25年度は,地盤-基礎-鉄塔連成系のモデル作成と解析実行プラットフォームの構築を行った.地盤-基礎-鉄塔連成系の各構成要素の有限要素モデルを作成し,それらを統合することにより,解析実行プラットフォームを構築した.基礎としては,比較的小型の鉄塔に対して用いられている逆T字型基礎を用いた.地盤は4脚の逆T型基礎を包含する十分大きな直方体領域として設定した.電線支持方式による鉄塔の耐荷特性の違いを比較するため,下記の2種類(懸垂型・耐張型)の標準鉄塔を解析対象として採用し,梁要素により有限要素モデル化した.懸垂型鉄塔は電線路方向が軽角度の箇所に使用されるため,耐張型鉄塔と比べて作用する電線張力の水平成分は小さい.この鉄塔は6本のアームで2回線の計6本の電線を支持しており,碍子を介して電線を鉛直に支持する.継脚の異なる2種類の懸垂型鉄塔モデルを準備し,継脚の違いによる鉄塔高さの変化の影響も調べた.耐張型鉄塔は電線路方向が重角度の箇所に使用されるため,架線方向の張力が鉄塔に対して直接作用し,とくに電線路直角方向の水平成分張力が比較的大きいことが特徴的である.鉄塔は複数種の断面寸法・形状を有する多数の部材で構成され,それらの正確なモデル化が解析結果を大きく左右するため,このことにも注意を払った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に上述した通り,平成25年度当初の研究実施計画に挙げていた内容をおおむね達成しており,研究計画全体としてもおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度である平成26年度の研究実施計画は,以下の研究項目で構成される.地盤-基礎-鉄塔連成解析による鉄塔の余耐力の評価.地震による土の亀裂,基礎を支持する 土層の部分的な沈下,基礎周辺の土の移動・喪失等に伴う,基礎の変位を受けた地盤-基礎-鉄塔系の3次元大変形・弾塑性解析を行い,地震後における基礎の健全性と鉄塔の余耐力の評価を行う.風外力は送電鉄塔の耐風設計で用いられている低温季, 高温季, 湿型着雪季に対応する外力を用い,現行設計の評価・見直しを行う.このとき,下記の項目の評価に力点を置く.(1) 地震の繰返し外力による地盤変形とそれにより引き起こされる基礎のずれ変形,(2) 上記の基礎の変形に伴う,鉄塔の塑性・弾性座屈挙動,(3) 4本ある鉄塔基礎による群杭効果による地盤の拘束・強化,(4) 地盤特性の不均一性の度合いによる応答の違い.
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度はとくに旅費について,当初見込んでいた所要額よりもかなり小さい使用額で全く支障なく研究を遂行できたため,これを次年度使用額とすることとした. 次年度は研究期間の最終年度にあたるため,データストレージ機器の購入のための物品費,解析結果データ整理等の作業にかかる研究補助謝金のための人件費・謝金として使用する計画である.
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