研究課題/領域番号 |
24560600
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
早野 公敏 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (40302632)
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キーワード | 土質改良 / リサイクル / 有効利用 / 建設資源 |
研究概要 |
浚渫土やヘドロ,建設汚泥,泥土など液性限界を上回る高含水状態の土(液状泥土)は,その大部分を回収,脱水処理,運搬などして,産業廃棄物や建設発生土(残土)として処理されてきた.これに対し,近年,液状泥土を造粒固化して,埋立て材,裏込め材,埋戻し材,盛り土材,養浜材,覆土材,路盤材などどして有効活用する手法が提案・実用化されている. しかしながら昨年度までの検討により,高分子凝集剤を添加する造粒固化方法においては,液状泥土を所望の状態に造粒させるために高価な凝集剤を多量添加する必要があり,非常に高コストの処理方法となることが分かった.粘性の高い泥土が処理対象である場合,好適に凝集作用が働かず,造粒できないケースもある.また吸水性材料を添加して液状泥土を造粒固化する方法においても,液状泥土の含水比を低下させるためには多量の吸水性材料を添加する必要が生じ,高コストになることが判明した.さらに多量の吸水性材料を添加することで,当初の液状泥土の量に対し処理を施した後の液状泥土(処理土)の量が増大するという問題も発生する. そこで今年度は液状泥土を造粒固化する新たな方法として,“ほぐし”に着目した検討を行った.一般に,海成粘土を原料土とした液状泥土に普通ポルトランドセメントを添加して直後に撹拌しても造粒物は得られない.しかし,数時間から1日程度の養生期間を設けると処理土は液状から塑性状,そして半固体状になり,ほぐしながら再撹拌すると造粒物が得られた.そして,ほぐしの時期を変えることにより,造粒物の粒度分布を柔軟に変更できる.所定の粒度分布の造粒物を得るためには,処理土のコーン指数を管理してほぐしの時期を決定すればよく,液状泥土の初期含水比や養生時間とは無関係である.また,ほぐしの時期は造粒物の粒子強度に影響を与えず,粒子強度は主にセメント添加率によって支配される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
造粒固化処理土の時間依存変形強度特性について以下の知見が得られたことから概ね順調に進展していると判断した ①海成粘土を原料土とした液状泥土に普通ポルトランドセメントを添加して直後に撹拌しても造粒物は得られない.しかし,数時間から1日程度の養生期間を設けると処理土は液状から塑性状,そして半固体状になり,ほぐしながら再撹拌すると造粒物が得られる.また,ほぐしの時期を変えることにより,造粒物の粒度分布を柔軟に変更できる. ②ほぐしにより造粒物を得るためには,養生工程で処理土のコーン指数を管理してほぐしの時期を決定すればよく,液状泥土の初期含水比や養生時間とは無関係である.具体的にはコーン指数が125~1800kN/m2の範囲となった段階でほぐし造粒を行うで造粒物を生成することができる.さらにコーン指数が450kN/m2から1200kN/m2の範囲にあれば砂質土が,コーン指数が100kN/m2から450kN/m2の範囲あるいは1200kN/m2から1800kN/m2の範囲にあれば礫質土が造粒できる ③ほぐし造粒によって得られた造粒物を一定の期間2次養生することで更なる固化反応が進行する.一方1次養生後のほぐしのタイミングは造粒物の粒子強度に影響を与えず,粒子強度は主にセメント添加率によって主に支配される.
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに得られた知見をもとに,造粒固化処理土の圧縮試験を実施し,マクロ的な造粒固化処理土の変形強度特性の解明を行う.特に造粒固化処理土作製時の配合および養生環境が,粒子破砕や粒子変形に大きな影響を及ぼしていると考えられる.そこで水セメント比や固化材の種類および気中・水中養生環境が造粒固化処理土の時間依存変形強度特性に及ぼす程度を定量的に評価したのち,モデル化を試みる.
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