研究課題/領域番号 |
24560601
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
松本 樹典 金沢大学, 環境デザイン学系, 教授 (10143877)
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研究分担者 |
小林 俊一 金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (10243065)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | パイルド・ラフト / 繰返し水平載荷 / 鉛直載荷 / 模型実験 / 乾燥砂地盤 / 杭の曲げモーメント / 杭のせん断力 / ラフトと杭の荷重分担 |
研究概要 |
繰返し水平荷重を受けるパイルド・ラフト基礎の挙動や液状化しやすい地盤におけるパイルド・ラフト基礎の挙動が明確にはなっていない。そのため,平成24年度は,1-g場の実験ではあるが,乾燥砂地盤における杭基礎模型(3本杭群杭,3本杭パイルド・ラフト基礎)の繰返し水平載荷実験を行い,大変形に達するまでの杭基礎模型および周辺地盤の挙動を調べた。 実験においては,杭基礎に加えて地盤の変形挙動を観察できるように,対称性を利用して地盤および模型基礎の半分をモデル化し,土槽の一側面を透明なアクリル板にすることにより,対称面での地盤挙動を観察・映像化できるようにした。杭とラフトの荷重分担を求めるため,模型杭の5レベルで軸ひずみを測定し,これらから各杭の軸力,曲げモーメント,せん断力分布を測定した。水平載荷時における鉛直荷重は,杭のみの鉛直支持力の1/3とした。 以上の実験から,次のような主要な結果が得られた。(1) 群杭基礎とパイルド・ラフト基礎を比べると,後者の水平剛性が前者よりも大きくなった。すなわち,パイルド・ラフト基礎水平荷重に対する水平変位抑制効果が大きい。 (2) 同じ水平荷重で比較すると,杭の曲げモーメント,せん断力は,パイルド・ラフト基礎の場合,大きく減少した。このことは,杭自体の破壊が軽減されることを意味する。(3) 繰返し水平載荷中の鉛直変位は,群杭基礎に比べて,パイルド・ラフト基礎の場合はラフトの存在によって効果的抑制される。(4) 繰返し水平載荷によって,杭と周辺地盤の間にギャップが形成されるが,ギャップ生成深さは,パイルド・ラフト基礎の場合は群杭基礎に比べて軽減される。これによって,水平剛性の低下も抑えられる。 以上の実験結果は,今後予定している解析手法の開発に有意義な示唆を与えるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度に予定していた模型実験が予定通りに終了した。この模型実験では,杭基礎模型の挙動の測定に加えて,基礎周辺地盤の挙動の観察を目的としていたが,これも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,模型パイルド・ラフトの地震時挙動を調べるための振動台を行う予定である。地盤条件として乾燥および飽和条件の2種類を設定する。 解析については,まずこれらの実験のシミュレーション解析を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に,56,818円を持ち越している。平成25年度は,パイルド・ラフト模型の振動台実験を,乾燥地盤および飽和地盤において実施する準備が進んでいる。平成25年度の当初予算及び持越し額を利用し,計画している実験を進めて,研究費を有効に利用する。
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