研究課題/領域番号 |
24560602
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岸田 潔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20243066)
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研究分担者 |
澤田 淳 独立行政法人日本原子力研究開発機構, その他部局等, 研究員 (30421639)
安原 英明 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (70432797)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 岩盤工学 / 岩盤水理 / 地下水物質移行 / 放射性廃棄物処分 / ヒーリング現象 |
研究概要 |
本研究は,エネルギー生成後の副産物である放射性廃棄物を地層処分する際の安全性能を評価するための基礎となる種々の応力・温度条件下での単一不連続面の水理学特性および力学特性を解明し,物質移行パラメータの同定(温度-化学-水理連成モデルの構築)およびヒーリング現象を包含した力学モデル(温度-化学-力学連成モデル)の構築を目指すものである.研究は,「不連続面の形状計測と温度-化学連成による不連続面構造評価モデルの構築」,「透水挙動の評価と物質移行パラメータの同定」,「Slide-Hold-Slide(SHS)型せん断-透水試験の実施とヒーリング現象を考慮した力学挙動モデルの構築」で構成されている. 「不連続面の形状計測と温度-化学連成による不連続面構造評価モデルの構築」は,花崗岩に引張亀裂を作成し,せん断試験を実施するように整形を行った.さらに,不連続面の形状計測をレーザ式計測装置を用いて実施した. 「透水挙動の評価と物質移行パラメータの同定」では,単一亀裂を含む花崗岩円柱供試体の加温封圧下での透水性の評価を行い,その内容を論文にまとめた. 「SHS型一面せん断-透水試験の実施とヒーリング現象を考慮した力学挙動モデルの構築」では,一面せん断-透水試験装置において,加温機能を付加する設計を行い,装置の改良を実施した.また,モルタルによる不連続面を有する人工岩石を用いSHS試験を実施し,加温による影響について検討を行った.加温に伴い岩石の挙動が変化することが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題の一つであるSHS型一面せん断-透水試験で加温することは,装置の設計・導入を行った.加温は可能であるが,その温度状態を保持時間中維持することは,現在の装置では不可能である.実験結果は,温度により岩石の挙動が変化することは確認できた.一方で,常時加温とならないため,繰返しで温度を与えることになり,評価が難しい結果となった. これらの評価や実験装置の改良・設営に時間を要したため,実験そのものは数ケースしか実施できず,次年度以降,改良を加えて実験する増やしていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
不連続面の形状計測と温度-化学連成による不連続面構造評価モデルの構築では,実験の進捗に併せて,供試体の形状計測を行う.併せて,不連続面構造評価モデルを用い,様々な供試体や実験条件に対して,適用性についての検討を行う. 透水挙動の評価と物質移行パラメータの同定では,透水試験と上記不連続面の形状計測より得られた不連続面構造を基にした浸透解析を実施するとともに,単一不連続面内の物質移行特性の評価とそのパラメータの同定を行う. SHS型一面せん断-透水試験の実施とヒーリング現象を考慮した力学挙動モデルの構築では,平成24年度に引き続きSHS型せん断-透水試験を行う.ただし,加温状態を保持期間維持できるよう実験装置の改良を試みる.SHS型一面せん断-透水試験の結果から,保持時間に伴う再せん断挙動の評価を行い,ヒーリング現象を含んだ不連続面の力学挙動のモデル化を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
土木学会全国大会参加費:15,000円×2名 英語論文校正費:29,880円
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