研究課題/領域番号 |
24560604
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木元 小百合 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70362457)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ガスハイドレート |
研究概要 |
本研究は、ガスハイドレート資源開発時の地盤変形メカニズムの把握と、その変形予測手法の確立を目的とする。まず、ガスハイドレート含有地盤材料の基本的な力学特性を明らかにするため、模擬ハイドレート含有試料を作成し、分解時の挙動について検討した。 平成24年度は温度制御可能な高圧三軸試験装置を用いて、豊浦砂を用いてCO2ガスハイドレート含有砂試料を作成した。ハイドレート含有模擬試料を作成する方法は、湿潤試料中にガスを浸透させる方法を用いた。具体的には含水比を調整して作成した供試体中にCO2ガスを圧入して2.3MPaとし、温度を1℃まで低下させ生成領域としたところ、間隙圧増圧装置のピストンが貫入した。これはガスが消費されたことを示しており、ハイドレートの生成が確認された。 作成した試料のハイドレート飽和率を、供試体の含水比と生成時のガス消費量の2通りの方法で求めたところいずれも20%~30%の値を得た。 また、作成したガスハイドレート含有試料について、加熱法によりハイドレートを分解させ、分解中の間隙圧力の変化および有効拘束圧の変化について調べた。分解に伴うガスの発生により間隙圧が大きく上昇し、ハイドレートの分解が確認された。この時、ガス圧が上昇することによって土骨格間の応力がゼロ近くまで減少する挙動がみられた。このことは、全応力を一定として非排気-非排水条件で分解させた場合、局所的にクイックサンド現象が生じる可能性を示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はガスハイドレート含有供試体を作成し、ハイドレート飽和率を算定した。また、加熱法による分解時の挙動を確認したが、実施を計画していたハイドレート含有供試体のひずみ速度依存性挙動の確認については未実施である。時間依存特性を再現できる構成モデルの提案と材料定数の決定についても検討中であり、実施計画に対して現時点での実施状況はやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
まず、平成24年度の未実施となっていたハイドレート含有試料のひずみ速度依存性の検討と構成モデルによる再現を行う。さらに、種々の排気-排水条件下で分解実験を実施する。実際の開発時には抗井周囲の減圧源付近では排水条件となるが、砂地盤の流出や減圧源のフィルターの目詰まりによって一時的、局所的に非排気-非排水条件となることが考えられる。非排気条件では間隙圧力の上昇により、有効拘束圧が低下する可能性があり、排水条件の違いによる挙動を把握しておくことは重要である。また、分解時の間隙ガス圧と間隙水圧を別々に計測するため、セラミックディスクやフィルター、遠隔作動式のバルブなどを用いた計測システムを用いる。 また、研究代表者らが開発した化学-熱-力学連成解析法の妥当性を検証するため、地盤材料パラメータ、水分特性パラメータ等を設定して、分解試験のシミュレーションを行う。特に分解速度や間隙圧力、分解時の変形量について実験結果と比較する。 生産挙動及び海底面安定性評価に関わる地盤の力学挙動に関する詳細解析を行い、生産時及びその後の長期的な地盤の安定性について評価する。特に坑井周辺を詳細にモデル化し、減圧条件等の検討、周辺地盤の安定性評価を行う。また拡張した解析コードを整備し、開発状況を想定したシミュレーションを行う。海底地盤の不安定化が予測される場合、坑井周辺のセメンティングなどによる対策工について検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
ハイドレート含有模擬試料を用いて種々の条件下で分解実験を実施する。実際の開発時には抗井周囲の減圧源付近では排水条件となるが、砂地盤の流出や減圧源のフィルターの目詰まりによって一時的、局所的に非排気-非排水条件となることが考えられる。排水条件の違いによる挙動を把握しておくことは重要である。また、分解時の間隙ガス圧と間隙水圧を別々に計測するため、セラミックディスクやフィルター、遠隔作動式のバルブなどを用いた計測システムを用いる。 研究代表者らが開発した化学-熱-力学連成解析法の妥当性を検証するため、地盤材料パラメータ、水分特性パラメータ等を設定して、分解試験のシミュレーションを行う。特に分解速度や間隙圧力、分解時の変形量について実験結果と比較する。
|