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2013 年度 実施状況報告書

物質移動を考慮した土/水/空気連成解析による汚染土砂締固め管理手法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 24560606
研究機関神戸大学

研究代表者

河井 克之  神戸大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (30304132)

キーワード地盤工学 / 土壌圏現象 / 自然災害
研究概要

東日本大震災で生じた放射性物質の拡散は,広範な土壌汚染をまねいた.その結果,大量の除染による発生土が予想され,その管理処分地の選定のみならず,管理方法が問題となっている.本研究では,管理方法として予想される高盛土の安定性と溶解物質の拡散挙動予測を目的としている.初年度は,変形,浸透,物質移動を同時に表現できるモデルの構築と初期値境界値問題としての定式化を行った.また,室内締固め試験を行い,締固め時に発生するサクション挙動を提案するモデルによって表現した.
平成25年度は,まず盛土への降雨浸潤挙動について明らかにすることを目標とした.まず,土/水/空気/溶解物質連成解析によって,降雨強度や斜面傾斜角が異なる傾斜地への降雨シミュレーションを行った.その結果,降雨によって形成される浸潤線の降下速度が降雨強度に依存することを明らかにするともに,斜面の表層が降雨によって含水率を増加させると,斜面方向の浸潤が卓越するようになってくることを明らかにした.この浸潤挙動はキャピラリーバリアシステムで期待される側方排水に該当するため,キャピラリーバリアシステムのメカニズムについても検討を行った.キャピラリーバリアは,保水性の異なる地盤材料を斜面上に傾斜させて層構造を作ると,その層間での流れが卓越することで鉛直流を抑制する目的で処分場などに用いられているものの,そのメカニズムを定量的に表すことが難しいとされてきた.ここでは,2種類の材料の層厚,傾斜角を変えた降雨シミュレーションを行い,その感度分析を行った.これによって層構造によって側方排水機能が保たれる降雨強度が異なることを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

地盤材料は,土粒子とその間隙に存在する水,空気の三相混合体である.なおかつ,粒状体としての性質を有することから,挙動が複雑であり,変形と浸透を切り離して考えるべきではない.本研究の骨子である土/水/空気/溶解物質連成問題は,すべての相を力学的に矛盾なくモデル化することを目的としており,ここまで解析を行いながら数値計算精度や感度について検討を行いながら,使用範囲や解析手法を明確にしてきた.解析対象である盛土に対しては,ある程度浸透挙動を予測できるようになってきた.しかしながら,変形に関しては,現場のみならず模型実験でも実測データが少なく,その検証には至っていない.また,溶解物質についてもモデルの妥当性について検証方法を模索しているところである.

今後の研究の推進方策

今年度は,数値計算の予測精度を高めることおよび現場への適用法を探ることを目的とする.解析精度に関しては,模型試験の実施とともに実験結果と解析結果を比較検討し,その誤差の要因を検討する.また,同時に本研究で扱う土粒子間隙に空気相を有する不飽和土では,負の間隙水圧を計測するためにテンシオメーターと呼ばれる特殊な水圧計が必要となるが,テンシオメーターでは高い負圧が発生した時や長期観測で受圧部のセラミックが乾燥すると内部で水のキャビテーションが生じ,正確に負圧を測定することが困難で,解析結果と比較する計測データが限られるという問題があった.そこで,高容量テンシオメーターの開発を行い,本研究のモデルから得られた成果を現地計測にフィードバックするプロセスを提案する.

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件)

  • [雑誌論文] Salt damage and soil contamination caused by the East Japan Earthquake and Tsunami2014

    • 著者名/発表者名
      Sugiyama, Y., S. Nomura, A. Iizuka, K. Kawai, S. Tachibana, S. Kanazawa and T. Takeyama
    • 雑誌名

      Theoretical and Applied Mechanics Japan

      巻: 62 ページ: 141-148

    • 査読あり
  • [雑誌論文] How rainfall and earthquake trigger shallow landslides – Experimental and numerical studies on laboratory prepared slopes2013

    • 著者名/発表者名
      Tiwari, B., K. Kawai, S. Caballero and P. Viradeth
    • 雑誌名

      Int. Journal of Landslide and Environmental

      巻: 1 ページ: 109-110

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression of mechanical characteristics in compacted soil with soil/water coupled F.E. simulation2013

    • 著者名/発表者名
      Kawai, K., A. Iizuka and S. Kanazawa
    • 雑誌名

      Proc. 18th Int. Conf. on Soil Mechanics and Geotechnical Engineering

      巻: 1 ページ: 1129-1132

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 土/水/空気連成解析手法による異なる含水比の締固め地盤の品質評価2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤武斗, ポムマチャンヴィラデス, 河井克之, 飯塚敦
    • 雑誌名

      神戸大学都市安全研究センター研究報告

      巻: 17 ページ: 31-38

  • [雑誌論文] ベントナイトの特異性の解明と構成関係の導出2013

    • 著者名/発表者名
      前田圭介, 飯塚敦, 河井克之, 高山裕介
    • 雑誌名

      神戸大学都市安全研究センター研究報告

      巻: 17 ページ: 39-48

  • [雑誌論文] 過圧密粘土の吸水軟化による正規圧密粘土化現象の検証2013

    • 著者名/発表者名
      安原昇平, 吉富力, 河井克之, 飯塚敦
    • 雑誌名

      神戸大学都市安全研究センター研究報告

      巻: 17 ページ: 49-60

  • [雑誌論文] キャピラリーバリアにおける変形特性およびその性能に及ぼす各種要因2013

    • 著者名/発表者名
      檜達也, 野村瞬, 河井克之
    • 雑誌名

      神戸大学都市安全研究センター研究報告

      巻: 17 ページ: 61-68

  • [学会発表] 長期的化学変質作用を考慮するためのベントナイト緩衝材の力学モデル化2013

    • 著者名/発表者名
      高山裕介, 鶴見修平, 飯塚敦, 河井克之, 小林一三, 大和田仁
    • 学会等名
      第68回土木学会年次学術講演会
    • 発表場所
      習志野
    • 年月日
      20130904-20130906
  • [学会発表] 土壌種類に起因する塩類の移動性の違い2013

    • 著者名/発表者名
      杉山友理, 野村瞬, 飯塚敦, 河井克之
    • 学会等名
      第68回土木学会年次学術講演会
    • 発表場所
      習志野
    • 年月日
      20130904-20130906
  • [学会発表] 排砂たい積場の覆土設置による沈下及び覆土の排水機能評価2013

    • 著者名/発表者名
      生田勇輝, 高山裕介, 鶴見修平, 市川康明, 飯塚敦, 河井克之, 瀧富弘, 坂尾亮太
    • 学会等名
      第68回土木学会年次学術講演会
    • 発表場所
      習志野
    • 年月日
      20130904-20130906
  • [学会発表] 構造物に近接する埋立て工事に対するロバスト制御アプローチの適用2013

    • 著者名/発表者名
      綿地規文, 田中琢, 佐藤毅, 飯塚敦, 河井克之
    • 学会等名
      第48回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20130723-20130725
  • [学会発表] 数値計算による異なる含水比で締固め度の等しい締固め地盤の品質評価2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤武斗, Phommachanh Viradeth, 河井克之, 飯塚敦
    • 学会等名
      第48回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20130723-20130725
  • [学会発表] 過圧密粘土の三軸繰返しせん断による変形強度特性の変化2013

    • 著者名/発表者名
      吉富力, 安原昇平, 河井克之, 飯塚敦
    • 学会等名
      第48回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20130723-20130725
  • [学会発表] 締固めによるサクション発現傾向の把握とその理解2013

    • 著者名/発表者名
      坂本諭, 余西佐知子, 河井克之
    • 学会等名
      第48回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20130723-20130725
  • [学会発表] キャピラリーバリア内浸透流が変形に及ぼす影響2013

    • 著者名/発表者名
      野村瞬, 檜達也, 河井克之
    • 学会等名
      第48回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20130723-20130725
  • [学会発表] 降雨強度および勾配,層厚がキャピラリーバリアの性能に及ぼす影響2013

    • 著者名/発表者名
      檜達也, 野村瞬, 河井克之
    • 学会等名
      第48回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20130723-20130725
  • [学会発表] 土/水連成有限要素法を用いた降雨時斜面安定に関する各種要因の検討2013

    • 著者名/発表者名
      松尾直人, 家永康平, Phommachanh Viradeth, 河井克之, 飯塚敦
    • 学会等名
      第48回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20130723-20130725
  • [学会発表] 粒度分布を考慮した土粒子のイオン吸着試験2013

    • 著者名/発表者名
      西門優, 吉井大貴, 河井克之, 飯塚敦
    • 学会等名
      第48回地盤工学研究発表会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20130723-20130725

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公開日: 2015-05-28  

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