研究課題/領域番号 |
24560608
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
N.P Bhandary 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (10363251)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 残留状態におけるクリープ / 地すべり / 粘性土 |
研究概要 |
本研究の主な目的は日本国内や世界の中山間地域に多数分布する大規模地すべりのクリープ的移動特性の解明とその大変位後のクリープ破壊メカニズムの解明や移動量の予測である.その方法として,改良型リングせん断試験機を用いて、土の残留状態におけるクリープせん断特性とせん断速度の低下によるせん断特性への影響について調べる。また、これらの実験結果に基づいて、大規模地すべりの長期安定性の検討を行う。 初期年度(24年度)の研究計画では(1)土の残留状態におけるクリープせん断試験可能な一面型リングせん断試験機の製作・妥当性の検討と(2)各種土の大せん断変形後のクリープせん断特性の解明を予定していた.(1)について,既存のリングせん断試験を必要最小限改良を行い,各種粘性土試料(※含有粘土鉱物の異なる4種類の粘性土)を用いて試験を実施した.既存のリングせん断試験機の改良目的は,先ず試験方法に関する問題点を把握することであった.これらの試験結果と把握した問題点を中心に,今新試験機の設計・製作中である. 実施した各試験結果は主に試験機の妥当性の検討に用いた.その方法として,他の試験方法で求めたそれぞれの粘性土試料の最大強度を改良型リングせん断試験機によるせん断強度との比較を行った.その結果,多少誤差が見られましたが,これは機械的摩擦が大きく影響を与えていたことがわかった.新設計・製作では摩擦を最小限に減らすことが目的である.また,今回の試験結果とその試験方法をまとめ平成25年度土木学会四国支部研究発表会をはじめ各学会発表に公表する予定である.以上の試験結果から,今回主に以下の点の理解が深まった:①残留状態でのクリープせん断試験では土の残留強度以上のせん断応力のみでクリープ破壊が生じる,②含有粘土鉱物によってクリープ破壊までの変位量が異なる,③クリープ破壊までの変位量は土の静・動的摩擦係数に依存する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の達成度は計画通り進んでいるが,残留状態における土のクリープ試験可能な試作品の改良型リングせん断試験機の新設計・製作はやや遅れ気味で,今年度5月以内に完成予定である.よって,おおむね順調に進んでいると評価したい.
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今後の研究の推進方策 |
今年度(平成25年度)5月中に新試験機の製作を行い,多種粘性土試料を用いて試験を実施する予定である.また,物理的性質への依存性と粘性土の残留状態におけるクリープせん断特性を支配するパラメータの評価を行い,試験結果に基づくクリープ破壊の数値モデルの提案を目指す.ひとまず,試験方法が定まれば,地すべり現場の状況を考慮し,そのすべり面粘性土の水質環境や含有鉱物の影響も調べる. まだ,学術雑誌に投稿できる結果でないため,試験方法と試験結果の信頼度を高め,平成25年度の研究成果を26年度に学術雑誌へ投稿するとともに土木学会や地盤工学会の各研究発表会に発表する予定もある.最終的に,3年間の研究成果をまとめ土質力学における新たな試験方法と土の強度評価法として発展させていく.
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次年度の研究費の使用計画 |
試験機作製に必要な材料やセンサー部品などすべて平成24年度以内に購入したが,年度内の支払いが間に合わず,次年度に支払う予定である.特に,レーザー変位計,水圧計,ロードセル,モーターなど購入額の支払いである.
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