研究課題/領域番号 |
24560610
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
北 勝利 東海大学, 海洋学部, 教授 (60234225)
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キーワード | サクションアンカー / 把駐力 / 係留 / 浮体構造物 / 遠心模型実験 |
研究概要 |
砂質地盤におけるサクションアンカーの把駐特性評価を目的として、10g遠心力場においてサクションを用いた沈設および鉛直および斜め上方定速度単調引抜き模型実験を行った.実験では粘性スケーリングを考慮して間隙流体として高粘性のメトローズ水溶液(粘度11~13mPas)を採用し,把駐抵抗やアンカー姿勢挙動に及ぼす係留索の牽引速度や牽引方向(仰角38~90度),係留索の連結位置の影響について検討した.一連の実験よりこれまでに得られた主な知見をまとめると、次のとおりである。 アンカー天板中心上方(以下、天上)部に係留索を連結した鉛直引抜き実験より,砂質地盤においても急速牽引時の負圧発生により,把駐抵抗のピーク値の増大効果と,ピーク後もある程度持続して牽引抵抗の減少を抑制する効果がみられた.また,中空ねじり試験より得た強度定数および引抜き時にアンカー側面と下端で計測した間隙圧より評価した鉛直引抜き抵抗と,実測引抜き抵抗は概ね対応した. 天上部に係留索を連結し斜め上方に急速牽引した場合,鉛直引抜きのケースと比較して,張力ピークに至るまでの変位量が大きくなった. アンカー側壁部に係留索を連結した場合,天上連結の場合と比較して大きな把駐力が発揮された.また天上連結の場合,本実験では急速牽引・緩速牽引ともに牽引仰角が小さくなると把駐力が減少する傾向にあったのに対し,側壁連結で急速牽引のケースでは牽引仰角が小さくなるに従い把駐力が大きくなり,AllesmaらやKimらなどによる乾燥砂を用いた、または排水に近い条件で実施された既往実験と同じ傾向を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
有限要素解析による把駐特性評価について、3次元解析プログラムの修正に手間取り、パラメトリックスタディの進行が遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
中密地盤において、係留策を天上部に連結し鉛直上方に急速または緩速牽引するケース、係留策を側壁部に連結し斜め上方に急速または緩速牽引するケースについて遠心模型実験を実施し、これまでに実施しているゆる詰め地盤における実験結果と比較することにより、把駐抵抗およびアンカー内外の間隙圧応答に及ぼす地盤密度の影響を検討する。これまでに実施した実験結果を総合して、把駐特性に及ぼす係留策連結位置、牽引方向、牽引速度、地盤密度の影響に関する知見を整理する。 有限要素解析によるパラメトリックスタディを実施し、把駐特性に及ぼす各種パラメータの影響を図表に整理するとともに、遠心模型実験で得られた各種パラメータの影響に関する知見と比較する。異なる地盤強度の深度分布や連結点位置・牽引方向等幾何条件における解析より得られた周辺地盤の流動方向や流動域範囲、把駐力を、既往の塑性解析で仮定されている流動場やそれに基づく把駐力と比較検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度消耗品購入において実際価格の値引き等により残額(820円)が生じた。 消耗品について、遠心実験の間隙流体作成用の工業用メトロース粉末および地盤作成時使用シリコングリスの購入を予定している。本年度残額については実験用消耗品購入に追加充当する予定である。国内旅費について、遠心実験にて京都大学防災研究所施設を利用予定とともに、東京・名古屋にてシンポジウムでの情報収集等と合わせ調査研究旅費55000円、投稿中の国内シンポジウム発表(新潟)に成果発表旅費60000円を、それぞれ使用予定である。 人件費・謝金等については、遠心実験および数値解析データの整理(1名×1週間)の研究補助に50000円を使用予定である。その他として、研究成果報告書作成に印刷費25000円を使用予定である。
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