研究課題/領域番号 |
24560613
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
重松 宏明 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90353268)
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キーワード | 貝殻 / 改良土 |
研究概要 |
これまで申請者の研究グループは,近年国内沿岸域で大問題となっているカキやホタテなどの廃貝殻を利用した地産地消型の土質改良工法の開発に取り組んできた.貝殻から種々の方法(粉砕,焼成,溶解など)でカルシウム系化合物(炭酸カルシウム結晶(CaCO3),塩化カルシウム(CaCl2),酸化カルシウム(CaO),水酸化カルシウム(Ca(OH)2))を取り出し,それらを組み合わせてカルシウム系固化材を製造し,処理対象土(湿潤土)に適量混ぜ合わせることによって,土粒子同士を化学的に固結させる工法である. 平成25年度は,粘土質の処理対象土を中心に本固化材を適用させ,かつカキ殻を細かく粉砕させたもの(カキ殻粉)を増量材として活用し,その土質改良効果を一連の室内実験(一軸圧縮試験,針貫入試験,締固め試験,pH試験,強熱減量試験など)で検証してきた.その結果,以下のような知見が得られた. (1)粘性土に本固化材を適用させ,かつカキ殻粉を増量材として加えたところ,固化材混合率の増加とともに一定の強度発現効果が認められた.しかしながら,一般に広く用いられている石灰安定処理工法やセメント安定処理工法と比較すると,強度増加率は著しく低く,適用範囲は大幅に限られる. (2)人工的に強酸性化(pH=3以下)させた土試料に対して,本固化材を混ぜ合わせると,弱アルカリ性に推移したことから,中和処理に対する効果は大いに期待できる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
粘土質の処理対象土に本固化材を適用させたところ,一定の強度発現効果は認められたものの,石灰安定処理工法やセメント安定処理工法と比較すると,強度増加率は著しく低く,適用範囲が大幅に限られてしまう. 以上のことから,これまでの方策を若干修正する必要がでてきた.
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今後の研究の推進方策 |
貝殻から取り出した種々のカルシウム系化合物(炭酸カルシウム結晶(CaCO3),塩化カルシウム(CaCl2),酸化カルシウム(CaO),水酸化カルシウム(Ca(OH)2))に,同じく産業廃棄物である廃石膏ボードから取り出した硫酸カルシウム(CaSO4)を加え,新たな廃棄物由来のカルシウム系固化材を製造する.この固化材を再度粘土質の処理対象土に適用させ,その土質改良効果を一連の室内実験(一軸圧縮試験,針貫入試験,締固め試験,pH試験,強熱減量試験など),および走査型電子顕微鏡による可視化,X線回折分析などで検証していく.
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの方策を若干修正する必要がでてきたため,今年度に生じた当該助成金を次年度で使用することにした. 当該助成金および次年度以降に請求する研究費を合わせ,以下に示すような計画で研究を遂行する. (1)処理対象土の試料調整から工学的分類(4月~7月),(2)カルシウム系固化材の製造とその品質評価(8月~9月),(3)一連の力学試験(10月~12月)による検証,(4)走査型電子顕微鏡による供試体の可視化とX線回折分析(1月),(5)考察および追加実験(2月~3月)
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