研究概要 |
2年目は,米国南カリフォルニア(CA)沿岸を主な研究対象としたサブメソスケール波-流れ相互作用に関する研究を実施した.同海域はCA海流の影響を強く受け,季節風による沿岸湧昇に伴うフロントの傾圧不安定や,陸境界付近での地形性シアによりサブメソスケール乱流が卓越することが知られている.本研究では,砕波帯―陸棚域の力学的な相互作用機構を明らかにするために,申請者らによる中領域解(Buijsman et el., 2012, J. Phys. Oceanogr.)を中間領域とする計5段のネスティングによるsynoptic海洋ダウンスケーリングにより,空間解像度O (10 m) の超細密モデリングを行った.併せて,同スケールのidealized陸棚-砕波帯モデルを開発し,両者を用いて砕波帯周辺での大規模渦の間欠的な放出と陸棚海域での大局的な流動場との関連について検討した(内山・甲斐田・McWilliams, 2013,土木学会論文集B2).その結果,波-流れ相互作用がフロント不安定によって生じるサブメソスケール渦の発達に多大な影響を及ぼすことを発見するとともに,渦度やEKEの変化などへの影響に関する精緻な解析を行った.さらに,超細密モデリングの応用例として,2粒子解析による沿岸域の物質分散解析(Romero et al., 2013, J. Phys. Oceanogr.)と,下水処理水の海洋放流分散シミュレーション(Uchiyamam et al., 2014, Cont. Shelf Res.)を実施し,サブメソスケール混合過程に関する詳細なアセスメントを行った.なお,H26年度実施予定内容への準備として,黒潮域におけるサブメソスケール乱流構造,瀬戸内海などについても鋭意海洋モデリングを実施しており,それぞれH26年度以降の発展が見込まれている.
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