研究課題/領域番号 |
24560629
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
関根 正人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60187854)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 水理学 / 河川工学 / 移動床水理学 / 浸食 / 軟岩 / 粘着性土 / 河床変動 |
研究概要 |
本研究では,河床に露出した軟岩が水流によって浸食されるメカニズムを明らかにし,あわせてその浸食速度自体を推定可能とすることを最終的な目的としています.ここでは比較的柔らかな堆積軟岩を検討の対象とします.この目的を達成するための第一歩として, 2012年度には次のような検討を行いました. 堆積軟岩の浸食が問題となっている鬼怒川と多摩川の実態を把握する目的で現地調査を行うとともに,軟岩のサンプルを不攪乱状態で採取しました.そこで,これを供試体とした粒度試験や一軸ならびに三軸圧縮試験などを行い,その土質力学特性を明らかにしました.次に,このような軟岩が水流の作用により浸食されていくメカニズムを探るための水路実験の準備として,供試体作成手法についての検討を行いました.ここでは,上記の土質試験に用いた材料を十分に攪乱し,これに水を加え均質に練り混ぜた後,荷重を加えて人為的に圧密を加えるとともに乾燥・湿潤の履歴を与えることによって,不攪乱状態の材料と同等の強度を持つ供試体を作成する手法の確立に挑みました.現時点では,改善すべき課題が残されているものの,次年度前半にはこの目的を達成できるものと考えています.以上の検討とあわせて,これまでの関連する調査研究に関わる文献調査を完了しました. 「軟岩の浸食」という現象は,粘着性土(すなわち,粘土を含有する砂)の浸食の現象と共通点が多いことから,粘着性材料の浸食に関する二つの実験的研究をあわせて実施しました.斜面の表面浸食に及ぼす材料の粘着性の影響が明らかになったことなどがその成果の一つです. 2013年度以降に軟岩の浸食実験を実施する上で,現有の実験水路の補修が必要と考えています.これについてはすべてを2012年度内に行う計画でしたが,研究遂行上の理由から,その一部を2013年度に行うことに致しました.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主な検討は計画通りに順調に進められ,目標に近い形で完了してきております.ただし,2012年度の一つの目標の一つとして,現地で採取された不攪乱状態の軟岩と同等の強度をもつ供試体を,十分に乱した材料を用いて作成する手法を確立することを計画していましたが,いくつかの検討課題が残ることになりました.また,計画していた現有の実験水路の補修の一部が2013年度に持ち越しになりました.このため,記載のような評価とすることに致しました.
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今後の研究の推進方策 |
変更すべき点や問題点は特に認められません.今後,計画通りに研究を進めていくことによって当初の目的が達成できるものと考えています.
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究の進行状況と関連する他の研究との関係を考慮して,実験水路を補修するための材料費と計測用の装置を自作するための材料費,ならびに実験に用いる砂ならびに粘土を購入するための費用の一部を繰り越すことに致しました.2013年度にこの費用を有効に使って研究を進めていく予定です.
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