本研究では、岐阜県が進めている魚道カルテデータ(673箇所)の評価分析により主要な魚道機能を抽出し、機能不全に陥っている魚道の具体的な補修工法の提案を行った。また、低落差の堰において魚類が遡上可能なサイフォン・パイプ式の簡易魚道を考案し、密閉式のため、小流量、落差2m以下の魚類遡上ツールとして有効であることを実証した。さらに、農業用水網の生態系ネットワークの連続性を把握するために、在来魚タモロコのマイクロサテライトDNA分析による遺伝的多様性を検討し、同一流路網において遺伝的分化尺度が急変している場所を複数抽出し、その要因分析と生息場の保全に向けたネットワーク強化策を検討した。
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