研究年度初年度(平成24年度)は,陸上交通,特に公共交通機関としてのバス(一般乗合旅客運送事業)の移動・モビリティに関する分析としての,全国レベルのデータ入手可能性について研究を実施した.国や地方自治体における公開データだけでなく,業界団体や研究成果報告の収集を行ったが,GISによる地理情報データとして整理には至らなかった,する。対象地域の「人」と「交通サービス」のモビリティを可視化させるために,従来の研究で実施しているバス利用者や路線沿線住民のアンケート手法の改良,および改良した手法による実際のバス路線への調査を行った.その際,生活モビリティの利用ポテンシャルを確認するために,WEBベースの調査を実施したが,調査への参加が極めて限定的となり,予測していた参加状況とは異なったことから,次年度はそれらを改善する手法を検討する予定である. また,生活モビリティの維持・確保・向上のための事業者用ICT の開発として,これまで自身が他の科学研究費で構築をおこなったバス運行知識データベースを実際に活用し、事業者が実際に利用するにあたっての技術的課題の抽出・整理を行った.運行品質の向上については,路線バス運行の遅延や他交通機関(鉄道や他バス等)との接続を、ダイヤグラム上で可視化し,さらにそれらを条件によって自動発見できる機能が,実際のダイヤ改定に適用できることを確認した.運行計画適正化と事業適切性については予定通り実施していない.GPS の時空間情報を処理することで得られた大量の品質データ(遅延等)については、統計処理方法として,複数の代表値と分散度を示すことで,改善すべきかどうかの判定の根拠となり得ることを確認した.今後はその判断のための閾値の設定等について検討を行う予定である.
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