研究年度2年目(平成25年度)は、乗合バスの移動・モビリティに関する分析として、全国レベルデータの入手可能性とその応用について継続的に調査した。バス事業に直接関連するデータベースだけでなく、関連する研究機関や国・自治体における公開データを網羅的に調査し、実用的に入手できるデータソースについて調査を行った。GIS基盤としては国レベルのバス停緯度経度情報データの可用性について、パソコンだけではなくタブレット端末やスマートフォンなどのモバイルデバイスでも確認を行った。 人と交通サービスのモビリティを可視化させるために、従来の研究で実施しているバス利用者や路線沿線住民のアンケート手法の改良、および改良した手法による実際のバス路線への調査も継続的に実施した。WEBベース調査方法の改善は、運用管理が容易なサーバーソフトの導入と運用設計を実施した。調査参加者が限られる状況の改善は、システム的な対応だけではなく住民参加の場などを活用して実証的に高めていくことが必要であり、次年度に改善検討する予定である。 生活モビリティの維持・確保・向上のための事業者用ICTの開発として運行知識データベースを実運用させた。事業者が実際に利用し、その操作状況の記録を解析することで、事業計画策定の支援における容易性・説得性を向上させる機能拡張行った。運行計画適正化と事業適切性については、事業適切性の判断根拠となるコスト分析を実施したが、十分に効率的であるという根拠を統計的には確認できなかった。GPS時空間情報を処理して得られた大量の品質データ(遅延等)については、前年度研究で実施した改善根拠の発見といったネガティブ側だけでなく、改善された成果把握のためのポジティブ情報についても分析可能なシステム設計を実施した。今後はそれらの情報をどのように実際の運用に展開するかの検討を行う予定である。
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