平成26年度は乗合バスの移動・モビリティに関する分析として公開されているデータについて実用的に入手できるデータソースについて調査を継続して行った。GIS基盤データとしては国レベルのバス停緯度経度情報データの可用性についてパソコンだけではなくタブレット端末やスマートフォンなどのモバイルデバイスで確認されたデータを独自データベースシステムへ展開し汎用的な利用についての条件整理を行った。 人と交通サービスのモビリティを可視化させるために、バス利用者や路線沿線住民のアンケート手法の改良、および改良した手法による実際のバス路線への調査も継続的に実施した。WEBベース調査方法(ネットアンケート)の改善は、運用管理が容易な新たなサーバーソフトを導入しインターフェースの再設計を実施したが、対象とした地域のネットへの参加数が低いことから、実際の住民参加の場などを活用して実証的に高めていくことが必要であり、今後の研究課題となった。 生活モビリティの維持・確保・向上のための事業者用ICTの開発として運行管理に関する知識データベースを設計開発し試験的に運用した。事業者が実際に実務で運用することで、事業計画策定の支援における容易性・説得性を向上させる機能拡張の有効性を検討した。運行計画適正化と事業適切性については、事業適切性の判断根拠となるコスト分析を継続的に実施したが、やはり十分に効率的であるという根拠を統計的には確認できなかったことから、判断基準についての考え方自体の再検討が今後の課題である。蓄積された大量の品質データ(遅延等)については、改善された成果把握のためのポジティブ情報を分析するシステムを開発した。遅延が改善された区間や人員が増加したバス停など、ポジティブ状況を発見出来る機能は課題解決過程と成果が見える化されることでより効果的な検討が可能なICT支援システムと位置づけられると考えられる。
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