研究課題/領域番号 |
24560639
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 忠史 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80268317)
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キーワード | サプライチェーン / 交通ネットワーク / スーパーネットワーク / 貨物輸送 / マルチモーダル輸送 / 粒子群最適化 |
研究概要 |
研究実施計画二年目に当たる本年度は、初年度の成果を踏まえて、以下の事項について取り組み、成果を得た。 初年度に構築した「製造業者、卸売業者、小売業者、消費者、物流業者、原材料業者の行動を記述するSCNEモデル(Supply Chain Network Equilibrium)」を多期間モデルへと拡張した。同じく初年度に開発した「製造業者、卸売業者、小売業者、消費者、物流業者、交通ネットワーク利用者の行動を記述する多期間SC-T-SNEモデル(Supply Chain-Transport Supernetwork Equilibrium)」を、原材料業者の行動を考慮したモデルへと拡張するとともに、道路以外の船舶や鉄道の利用も考慮可能なマルチモーダル交通ネットワークを包含できるように改良した。 企業へのヒアリング調査、既存の調査結果や関連文献の精査に基づいて、実際のSCN特性や交通ネットワーク特性を調べた。それらから得られた知見を利用して、上述のSCNEモデルや拡張型SC-T-SNEモデルについて、実際のSCNや交通ネットワークでの実現値とモデルから得られた推定値との整合性を検討することにより、構築したモデルの記述モデルとしての性能を検証した。 また、SCN上で生じる現象(SCNEモデル)、もしくは、サプライチェーンと交通の双方を内包したスーパーネットワーク上で生じる現象(SC-T-SNEモデル)の記述を制約条件とし、上位問題で交通ネットワークの改良に関する最適な意思決定を行う、均衡制約付き最適化モデルを開発した。このモデルの基本的性能を確認するとともに、改良型の粒子群最適化法を開発・適用することにより、高速で高精度な求解を可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画において、平成25年度以降は、次の4項目に着手することとしていた。(1)SCNおよび交通ネットワーク上の状態の時系列的変化が算定可能な、多期間SC-T-SNEへと、モデルを拡張する。(2)マルチモーダルな交通網および原材料業者の行動を考慮した拡張型多期間SC-T-SNEモデルを構築し、実際のSCNや交通ネットワークでの実現値とモデルから得られた推定値との整合性を検討することにより、構築したモデルの記述モデルとしての性能を検証する。(3)拡張型多期間SC-T-SNEモデルを用いて、交通ネットワークやSCNの脆弱性解消や信頼性向上に寄与するような、リンクの新設や改良などの交通施策、および、生産拠点や流通拠点の立地誘導や分散化などの物流施策について、効果分析を行う。(4)サプライチェーンと交通の双方を内包したスーパーネットワーク上で生じる現象の記述(SC-T-SNEモデル)を制約条件とし、物流や交通に関する施策実施の有無や実施の程度を決定する、均衡制約付き最適化モデルを開発し、最適な交通施策や物流施策について考究する。 「研究実績の概要」で述べたように、本年度において、上記(1)と(2)については、概ね完了している。上記(4)についても、最適な交通施策や物流施策の検討が十分ではないものの、モデルの開発については、ほぼ終了段階にある。 上記(4)については、制約条件をSC-T-SNEモデルに限定せず、SCNEモデルの適用も行った。さらには、上位問題の解法に改良型の粒子群最適化法を適用することにより、高速で高精度な求解を可能とした。これらは、当初の研究計画以上の成果と考えられる。 研究計画との整合性、および、計画時以上の研究の発展性を考慮すれば、本研究は、当初の計画以上に進展しているものと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成26年度は、過去2年間で開発してきた以下のモデルの精緻化を図り、構築したモデルの記述モデルとしての性能を検証する。対象となるモデルは、多期間および単期間の「製造業者、卸売業者、小売業者、消費者、物流業者、原材料業者の行動を記述するSCNEモデル」モデルであり、道路以外の船舶や鉄道の利用も考慮可能なマルチモーダル交通ネットワークを考慮した、多期間および単期間の「製造業者、卸売業者、小売業者、消費者、物流業者、原材料業者、交通ネットワーク利用者の行動を記述するSC-T-SNEモデル」である。実際のSCNや交通ネットワークでの実現値と、これらのモデルから得られた推定値が、よりいっそう整合するように改善を図る。広範な実現値データの収集のために、企業へのヒアリング調査、および、既存の調査結果や関連文献の精査を継続的に実施する。 また、上述のSCNEモデルやSC-T-SNEモデルを用いて、交通ネットワークやSCNの脆弱性解消や信頼性向上に寄与するような、リンクの新設や改良などの貨物交通関連施策について効果分析を行い、最適もしくは有効な施策について考究する。その際、平成25年度に開発した均衡制約付き最適化モデルも活用する。均衡制約付き最適化モデルについては、計算負荷の大きい離散的な組み合わせ最適化問題となることから、効率的な解法、すなわち、解の精度に優れていて、かつ、計算時間を抑制できるような近似解法が必要となる。そのため、平成25年度に、改良型の粒子群最適化法を開発・適用したが、平成26年度は、その精緻化に努める。なお、モデル開発や数値計算などの、これまでの研究成果については、国内外の関連学会などで発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、計算手法の開発に重点を置いたため、数値計算の補助として計上していた謝金の使用が、当初の予定よりも抑制された。また、Web上で無料公開されている資料の利用に努めたことから、資料提供・閲覧に必要な謝金も不要となった。一方、旅費についても、出張期間を短くするなどして、出費の抑制に努めたため、当初の計上額よりも小さな値となった。これらにより、次年度使用額が生じた。 平成26年度は、当初の予定においては、成果発表の旅費のみを計上していた。しかし、開発したモデルの数値計算に必要な、広範な実現値データの収集のためには、企業へのヒアリング調査、および、既存の調査結果や関連文献の精査を、継続的に実施する必要がある。生じた次年度使用額は、データ収集のための旅費に充当する予定である。 また、平成26年度には、これまでに開発してきたモデルを用いて、貨物交通関連施策の効果や最適性について、多様な数値計算を行う。充実した数値計算を行うために、次年度使用額は、数値計算補助の謝金にも割り当てる予定である
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