研究課題/領域番号 |
24560640
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
塩見 康博 立命館大学, 理工学部, 講師 (40422993)
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研究分担者 |
山崎 浩気 京都大学, 工学研究科, 助教 (60612455)
宇野 伸宏 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (80232883)
嶋本 寛 京都大学, 工学研究科, 講師 (90464304)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ATM / 交通流シミュレーション / 車線変更 / 車線利用率 / 高速道路 / マクロ交通流モデル |
研究概要 |
本研究課題は,3カ年にて1) 個別車両データに基づく多車線ネットワーク交通流シミュレーションの構築とそれに基づく交通状態推定手法の確立,2) ドライビングシミュレータ(以降,DS)を用いた走行実験に基づく動的交通流マネジメント施策に対する運転者の反応・挙動特性の解明,3) 動的交通流マネジメントの最適実施アルゴリズムの開発とネットワーク規模での実施効果の評価.に取り組むものである. 平成24年度は主に1)に該当する,収集されたデータの解像度を極力落とすことなく,かつ高速道路のネットワークレベルの交通状況をオンラインで把握するプラットフォームとして運用可能な,マクロ交通流理論に基づく多車線交通流モデルを構築した.具体的には,交通量レベルに応じて車線利用率が変動する交通現象に着目し,各車線に対する効用を「走行速度の向上」と「キープレフト原則の遵守」を考慮して付与し,車線間で選択効用が均衡する過程を確率的利用者均衡の概念を用いて定式化した.さらに,車線変更に伴う交通量の車線間移動とそれに伴う摩擦の発生を考慮した多車線交通流モデルをLWRモデルの拡張として定式化し,Godunov法に基づく解法を提案した.一方,車線変更を考慮してはいないものの,定点観測による個別車両データのオンライン使用を想定し,Extended Kalman Filterとマクロ交通流モデルを用いた交通状態推定手法を構築した. 次年度以降では単路部のみではなく,Mandatory lane changeが発生する分合流部やオンランプ・オフランプ付近での交通動態を記述できるようモデルを拡張すると共に,Extended Kalman Filterを用いた交通状態推定の枠組みを多車線交通流モデルに適用し,車線別の交通状態を推定する手法の構築を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,1) 個別車両データに基づく多車線ネットワーク交通流シミュレーションの構築とそれに基づく交通状態推定手法の確立,2) ドライビングシミュレータ(以降,DS)を用いた走行実験に基づく動的交通流マネジメント施策に対する運転者の反応・挙動特性の解明,3) 動的交通流マネジメントの最適実施アルゴリズムの開発とネットワーク規模での実施効果の評価.の3点に取り組むものである.平成24年度は,1)に取り組んだものであるが,多車線ネットワーク交通流シミュレーションの構築,および個別車両データを用いたExtended Kalman Filterによるフィードバック原理を導入した交通状態推定手法の構築の2点を達成することができており,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,車種の違い,及びMandatory Lane Change(分合流やオンランプ・オフランプで発生する義務的な車線変更)を考慮した多車線交通流モデルとなるように拡張を行うとともに,このモデルをExtended Kalman Filterによる交通状態推定の枠組みに適用する.これにより,研究計画の内,最も重要な1) 多車線交通流シミュレーションの構築と交通状態推定手法の確立,を達成することができる.2)に該当するドライビングシミュレータを用いた実験についても,具体的な研究計画を策定し,取り組みを進めていく予定である.3)については1)と2)の成果が前提となるものであり,3年目に取り組む予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度研究成果を発表するための学会参加・出張旅費,研究分担者との打ち合わせ実施のための旅費,交通流シミュレーションを構築するためのPC・ソフトウェアの購入,データ解析のための研究協力謝金などに主に使用する予定である. 未使用額が生じた理由は,2013年3月にオランダの高速道路マネジメントシステム視察に行った際のレンタカー・駐車場代金・高速道路関連資料の経費の処理を年度内に終える事ができなかった(レンタカー会社からの支払い請求が遅れた)ためである.次年度予算として当該視察の経費を支出し,視察で得た先進的な高速道路マネジメント手法(動的路肩規制・可変制限速度・ランプメタリング)を考慮した施策評価ができるよう研究を実施する予定である.
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