研究課題/領域番号 |
24560643
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
塚井 誠人 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70304409)
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研究分担者 |
桑野 将司 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70432680)
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キーワード | 調査手法 / 変数選択 / 交通権 / コミュニティ |
研究概要 |
本年度は,昨年度のWeb調査結果について土木計画学研究発表会,ならびに土木学会全国大会にて成果報告を行った.さらに,新たに交通権政策の導入に関する認知喚起と地域の共助的送迎交通を題材としてフィールド調査を実施した.調査票の作成に当たっては,回答者に違和感の無い課題設定となるように,政策の具体的な内容を示すことに留意した.なお本調査は,前年実施した全国を対象とするWeb調査と比較できるように,多くの調査項目を共通として実施した.調査は東広島市西高屋駅周辺で実施し,800票(半数を認知喚起あり,半数を認知喚起なし)の配布に対して約300票の有効回答を得た.分析の結果,交通権政策に対する認知喚起の有無によって,近隣住民を送迎する共助交通への賛否意識が有意に異なることが明らかとなった.なお分析に際しては,共助意識に影響する多くの変数が,それぞれ交絡する可能性があること,したがって適切な変数選択の手法をとる必要があることに鑑みて,新たに決定木分析による予備的な変数選択によって,複数の変数の組み合わせによる標本サブグループを作成しながら,それらのサブグループをあらわす指標をダイレクトに共助意識の説明変数として用いることによって,交絡変数を内生的に抽出しながら,認知喚起有無が共助意識に及ぼす影響を抽出することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
変数選択手法については,研究途中に解決すべき課題と認識していたが,具体的な手法開発に年度内にたどり着くとは考えていなかった.適用手法によって,認知喚起の効果を統計的に安定な方法で確認できるようになったことは,研究課題に対する一定の回答を与えられること,ならびに開発手法自体の汎用性が高いことなどの成果につながっており,当初の計画以上に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本年度の研究成果の発表を行って,提案手法の汎用性や有効性を改善する方策を検討する.さらに変数交絡の処理に関しては,傾向スコア法などのこれまで用いてきた別手法による統計的因果計測の結果との対比を行って,本研究課題の結論の頑健性について見当を深める予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品購入について,予定よりも調達金額が低かったため. 消耗品の使用の予定.
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